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第13章 肩(かた)すかしをくわす

 NIFTY-ServeのFSHIPでLMSさんが発表された『シロクマ号となぞの鳥』(1964.5.30第2刷)とアーサー・ランサム全集第12巻『シロクマ号となぞの鳥』(1999.6.7第19刷)を元に、次の比較一覧にまとめたものです。  英語版への参照にはPuffin BooksのGreat Northern?, impression of 1973を使いました。
 修正の表記については、真鵺道によりました。
2001. 3.12 高橋誠
頁 変更 内容 英語表記
旧 新 頁 内容
201 202 [ねどこ/寝(ね)だな]でうつらうつらしていたジョンは、 153
「あの男、[看/監]視(かんし)をやめたんですか?」
もう一時間([じかん/])半([はん/])ばかり、
しかし風は北西([/ほくせい])なんだ。
ジョンは、[ねどこ/寝(ね)だな]からそっとぬけだし、
202 203 ぼんやり[ひか/光]っていた。
「風は北西([/ほくせい])だよ。」
「ここから出て[行/い]くには、
しずかに前へ[行/い]って、
わしが船(ふね)を右へ[うご/動(うご)]かすから、
メ[ー/]ンスルをあげるのは、
ながく[ひか/光]るのだった。 154
北東([/ほくとう])の陸上(りくじよう)の夜空に、
長いヘッド岬(みさき)がもり[上/あが]ってかくしている、
「[タイヤ/帆結(ほむす)び]は、もうわたしが
うすぐらい[帆柱(ほばしら)/マスト]の上の方を
203 204 [巻揚機(まきあげき)/ウィンチ]はつかえないからな。」
「それにどならない[方/ほう]がいい。
引(ひ)き綱(づな)を船尾(せんび)へもっていった[方/ほう]が、
まあ、船(ふね)もうまく[向(む)/む]きをかえてくれるだろう。
フリント船長(せんちよう)が[舵(かじ)/かじ]のところへ[行/い]くまで、
ジョンは、左舷(さげん)の[帆(ほ)あし綱(づな)/シート]をつかんで、 156
「終(お[わ/])[/わ]り]。」
船(ふね)の真横(まよこ)に見え[、/]……
灯台(とうだい)の灯(ひ)が、[まっ/真(ま)]正面(しようめん)に見えてきた。
204 205 ぬれた端(はし)を巻(ま)きおさめてから[、/]いった。
ここにのこってた[方/ほう]がいいわね。
ステースルに北西([/ほくせい])の風をいっぱいに
灯台(とうだい)を目標(もくひよう)に[舵(かじ)/かじ]をとってる。」
ジョンは、[苦労(くろう)し/そっと歩い]て船尾(せんび)まで[行/い]った。 John scrambled aft.
その間(あいだ)、[舵(かじ)/かじ]をとってくれ。
漁船(ぎよせん)がはいってくるかも[知/し]れないし、
どなるかも[知/し]れない。
船首(せんしゆ)右舷(うげん)にくるように[舵(かじ)/かじ]をとってくれ。」
船長(せんちよう)の手であたためられた[舵(かじ)/かじ]をにぎった。[/(改行)]
 すぐに、ランプ二つが
and took the tiller, warm from the skipper’s hand.
  A moment later the two lanterns were on deck,
フリント船長(せんちよう)が注意(ちゆうい)[深(ぶか)/ぶか]くことをはこんでいる
赤や[青/みどり]の光がちらりとでも 157 green
[横静索(よこせいさく)/シュラウズ]の所定(しよてい)の位置(いち)に
205 206 あの探照灯(たんしようとう)を[向(む)/む]けていないよ。」
[だ/出]してないとはだれにもいえないよ。」
ジョンは[舵(かじ)/かじ]をわたして、
テロダクティル号(ごう)の[前墻支索(ぜんしょうしさく)/フォアステー]にぶらさげてある
部下(ぶか)たちは、まだ[、/]ねむっているのだ。
[彼(かれ)/かれ]ら、どんな顔(かお)をするだろうなあ!」
いくらも[行/い]かないうちに夜もあける。」
「メ[ー/]ンスルをあげたらどうです?」
206 207 三十分後(ご)、[/風をさえぎる]海岸(かいがん)[の保護(ほご)の手/]をはなれはじめたシロクマ号(ごう)は[/、]船首(せんしゆ)の波切(なみき)りの下で[、/]小さなつぶやきを Half an hour later, as she began tolose the shelter of the shore, a gentle murmur began under her forefoot.
[斜桁(しやこう)/ガフ]のきしみ──みんな、メ[ー/]ンスルがあがる時の音だ。
すぐに、寝(ね)[床(どこ)/だな]から出ると、つま先[立/だ]ちしながら船首(せんしゆ)の[部屋(へや)/へや]へ[行/い]き、
「ディック、」[と、/]ドロシアは[/、]あわててディックの[ねどこ/寝(ね)だな]に首([/くび])をつっこんで[、/]いった。 158
寝(ね)[床(どこ)/だな]からころがるように出て、舷窓(けんそう)のドロシアのところへ[行/い]った。
[昇降口(しょうこうぐち)/ハッチ]の階段(かいだん)をかけのぼった。
ジョンが[舵(かじ)/かじ]をとっており、
メ[ー/]ンスルがあがっていくところだった。
207 208 メ[ー/]ンスルが固定(こてい)すると、つぎに[、/]ジブがあがった。
「ぼくがいて手([て/])[伝(つだ)/つだ]ったら、もっとずっとよくやれたのにな。」[、と/]ロジャはジブシートをひっぱりながら
ティティの白い顔(かお)が[昇降口(しょうこうぐち)/階段(かいだん)]にあらわれた。ティティは一([ひと/])言(こと)もいわずに、
208 209 「はい[/、]これ、あなたのセーター。 159
「しかし、なんで[、/]きみたちまぬけどもは、
あの湾(わん)まで、[詰開(つめびら)/つめびら]き航海(こうかい)(1)を
その時には、[エンジン/機関(きかん)]にたすけてもらうよ。」
「港(みなと)を出る時だって、[エンジン/機関(きかん)]を使った[方/ほう]がよかったんだよ。」
出航(しゆつこう)でございって知ら[し/せ]た[方/ほう]がよかったんだな。」
「あっ、ごめん[/ごめん]。」と、ロジャがいった。「それ[、/を]忘れてた[/よ]。」 ‘I forgot that,’ said Roger. ‘Sorry.’
「わしらが岬(みさき)のはなをまわるまで[/、]やつが出てこない
209 210 湾(わん)の奥深(おくふか)くかくれてしまうまでは、[やっつけ/だしぬい]たとは[、/]いえないんだ。」 We can’t say we’ve done him until we’re tucked away out of sight.’
ぼくらを[見/み]つけたら、
ラス岬(みさき)を見に[行/い]こう。
あいつをつれてなんか[行/い]かないから。」
東の空が明([あ/])かるみはじめ、シロクマ号(ごう)は、その光に[向(む)/む]かって
ヒツジや[雌/牝]牛(めうし)がうごいている
「今、[/あっちが]港(みなと)から出てきたら、
とっても[、/]きげんがわるいだろう[ね/なあ]。」[と、/]船室(せんしつ)の中を 160
はらがへったのか?」[と、/]フリント船長(せんちよう)がにやりとして[、/]いった。
「おかゆよ。」[と、/]スーザンが
みんな[食(た)/た]べに[行/い]ってくれ。」
210 211 ロジャは[/とくに気をくばって]いちばん最後(さいご)[になるようにとくに気をつけて、/までのこっていて]船長(せんちよう)以外(いがい)のみんなが下におりてしまうと、ぶらりと[羅針儀(らしんぎ)/コンパス]を見にいった。 Roger took particular care to be the last to go, lingering to look at the compass when everybody else but the skipper had gone below.
「[行/い]ってこいよ、ロジャ。
それから、[エンジン/機関(きかん)]の準備(じゆんび)をたのむ。」
おかゆのおわんを操舵手(そうだしゆ)に[はこんで/とどけに]きた。 Susan brought up a bowl of porridge for the steersman.
ねてくれるとは思えないよ。」[と、/]フリント船長(せんちよう)[が/は]、心配(しんぱい)そうな
新(あたら)しい気分([きぶん/])が生(う)まれていた。それは、りっぱな港(みなと)や停泊(ていはく)[所(じよ)/地(ち)]をつぎつぎに
ぜんぜんなかった[もの/気分]だった。
ただどこかへ行く場合(ばあい)と、[さけ/かわさ]なくてはならない敵(てき)がいる場合(ばあい)では、たいへんなちがいがあるのだ[った/]。 There is a tremendous difference between just going somewhere and having an enemy to dodge.
「[人はなんというかもしれないけれど/だれがなんといおうと]、」と、ナンシイがおかゆを[食(た)/た]べおわっていった。 ‘I don’t care what anybody says,’ said Nancy, finishing her porridge.
たまご収集家(しゆうしゆうか)に[、/]とっても感謝(かんしや)してるわ。[だいじょうぶ/大丈夫(だいじょうぶ)]よ、ディック。あ[ん/な]た]の考えてることはわかってるわ。
211 212 わたしたち、[今頃(いまごろ)/いまごろ]帰(かえ)るとちゅうだったわよ。
「[うまく身(み)をかわしちゃう/こっちはうまくかわせる]わよ。」 161 ‘We’ll dodge him all right,’
どうしてあの人には[、/]そんなに重要(じゆうよう)なのかしら。わたしには、わからない[/わ]。」
「だれが、あの鳥[、/を]発見(はつけん)したの? あなたよ。テロダクティル号(ごう)の鳥類学者(ちようるいがくしや)じゃないの[よ/]。
212 213 「ころさ[れ/せ]やしないよ。」
「[ただね、/]どんなことがあっても、ぼくらの[行/い]くところを彼(かれ)に知られずに、写真(しやしん)をとらなくちゃならない[んだよ/。それだけさ]…… Only, whatever happens,
ぼく、甲板(かんぱん)へ[行/い]くよ。」
まるのみにしたのよ。」[と、/]ディックが階段(かいだん)をあがって
「また、[後(あと)/あと]をつけられるのは
「さ、はやくごはん[食(た)/た]べちゃいなさいよ。」
「ジムおじが[エンジン/機関(きかん)]を[使(つか)/つか]うっていったの、
フリント船長(せんちよう)の方でつかうといえば、すぐに[うご/動(うご)]かせるな。
213 214 ふたたび甲板(かんぱん)に出て[見/み]ると。」 162
宙(ちゆう)をとぶように追(お)いかけてくる[ね/]。」
食事(しよくじ)をおすま[し/せ]になったら?」
[エンジン/機関(きかん)]の調子(ちようし)を[見/]て、動(うご)かそうじゃないか。
「がんば[れ/ってよ]、シロクマ号(ごう)さん。」
タタッ……[。エンジン/機関(きかん)]が動(うご)きだした。
船(ふね)の現在(げんざい)の速度(そくど)を[見/み]るのではなく、
214 215 どれくらいはやまるかを[見/み]るためだった。
まるで、だれかが[/、]後([あと/うし])[/ろ]から[、/]ふいに船(ふね)を
帆(ほ)をふくらま[しエンジン/せ、機関(きかん)]を全開(ぜんかい)した
「さあ、[降(お)/お]りていって、朝ごはんを
[エンジン/機関(きかん)]を[かけ/うごかし]た場合(ばあい)、どんな進路(しんろ)で[詰開(つめびら)/つめびら]きしたらいいか
おい、ナンシイ、メ[ー/]ンシートを力いっぱいひっぱってくれ。 163
ジョン、船(ふね)を風上(かざかみ)に[向(む)/む]けろ。」
手のあいているものは、みなメ[ー/]ンシートをひっぱり、
「これでよし、ジョン、[詰開(つめびら)/つめびら]きだ。
フリント船長(せんちよう)は、ヘッド岬(みさき)の北側(きたがわ)[になっている/の]ひろい湾(わん)[の向(む)こう、/と、そのむこうの]きのう出てきた海岸(かいがん)の方を[じっと見/ながめ]た。 He looked forward across the wide bay north of the Head towards the coast they had left the day before.
[エンジン/機関(きかん)]がなければ、こうはいかないんだ。もうこのまま進(すす)むだけでいい[んだ/]。
215 216 ジョンが[舵(かじ)/かじ]をにぎるシロクマ号(ごう)は、
湾(わん)を[よこ/横(よこ)]ぎってつき進(すす)んだ。
なぎや[、/]とるにたらぬ風と[、/]悪戦苦闘(あくせんくとう)した
六時間([じかん/])も潮(しお)にさからって
力をあつめて船(ふね)に刃(は)[向(む)/む]かってくる時には、
たえまなく強(つよ)い北西([/ほくせい])の風が吹(ふ)き、
[エンジン/機関(きかん)]を[かける/うごかす]ことができるのだった。
逆(ぎやく)に進(すす)めば十時間([じかん/])はかかるところを、シロクマ号(ごう)は今、二時間([じかん/])ほどで、
白い航跡(こうせき)を残しながら、[どんどん/ぐんぐん]進(すす)みつづけた。
北の方に煙(けむり)が二[筋(すじ)/すじ]見えるだけで、 164
216 217 「ゲール人(じん)の[/お]城(しろ)は、その[向(む)/む]こうの尾根(おね)のうら側(がわ)ね。」
「この進路(しんろ)では、あの湾(わん)に[向(む)/む]かいません。」
速度(そくど)が[落(お)/お]ちるわ。」
わしらがどこへ[行/い]くか、
まわったとしたら、白帆(しらほ)が見える[よ/]。
帆(ほ)をおろしてしまえば、けっしてみつからない[ね/]。
[舵(かじ)/かじ]はペギイがとってくれ。
すぐに湾(わん)の入口に[舵(かじ)/むけてかじ]をとってくれ。」
船首(せんしゆ)の帆(ほ)がおり、メ[ー/]ンスル]がおりた。
乗組員(のりくみいん)たちは[、/]機敏(きびん)に[うご/動(うご)]いて、帆(ほ)があちこち動(うご)かないように[ガスケット/帆結(ほむす)び]をむすんだ。
わしが[舵(かじ)/かじ]をとってた[方/ほう]がいいからな。」
「あいつを[やっつけたぞ/だしぬいたぞ]!」 ‘We’ve done him!’
さあ、[今度(こんど)/こんど]はきみの鳥だ。
217 218 ひとりも見ていないわ。」[と、/]ナンシイが、きのう背(せ)の高いゲール人(じん)[の/が]立っていた岩(いわ)を見[ながら/て]、
ほがらかに手をふっても[答(こた)/こた]えず、 165
大きな双眼鏡(そうがんきよう)を目からはなしながら[、/]いった。
何キロも[向(む)/む]こうなのよ。」
「[やっつけちまったんだから/もうだしぬいちまったんだ]。ロジャ、[エンジン/機関(きかん)]をおそくしてくれ。 ‘We’ve done him.
前部甲板(ぜんぶかんぱん)で[、/]いそがしくいかりの準備(じゆんび)を
[エンジン/機関(きかん)]がせきをしてとまった。
ここを出航(しゆつこう)してから二十四時間([じかん/])後(ご)に、
潮(しお)が変(か)わり、[今度(こんど)/こんど]は入江(いりえ)の中へ[動(うご)いて/流(なが)れこんで]きた。 The tide had turned and was coming in and the Sea Bear lay with her head towards the sea.
シロクマ号(ごう)は、外海(そとうみ)に船首(せんしゆ)を[向(む)/む]けてとまっていた。
218 219 [そんなこと/沈(しず)めでも]したら、マックはありがたく思わん
船体掃除湾(せんたいそうじわん)と南([/みなみ])[/側(がわ)]のせまい入江(いりえ)を[わけている/区切(くぎ)る岩(いわ)ばかりの]出州(です)と、[湾口(わんこう)/北側(きたがわ)]の絶壁(ぜつぺき)の間(あいだ)を指(ゆび)さした。 between the cliff and the rocky spit that divided Scrubbers’ Cove from the narrower inlet to the south
[/はるか]前方([/ぜんぽう])の外海(そとうみ)に、 Far out at sea,
たいして時間([じかん/])をむだにしなかった。
この間、ぼくたちに出([で/])[会(あ)/あ]ったから、 166
「[どんづまりに追いこま/にげ場のないところに追いつめら]れたのね。」 ‘Cornered with no escape,’
219 220 「やっこさんが[/、]きちがいみたいに
ついには死体(したい)を[、/]アホウドリが
暗(くら)い気分は一瞬(いつしゆん)にしてはれ[てしまっ/]た。
「ぼく、ピクト・ハウスへのぼって[見/み]る。」
「あんなやつ、つっぱしらしとけ[/よ]。」
まあ、[行/い]きたかったら、見張(みは)りにいっても
220 221 「みんなで[行/い]きましょうよ。」
「ぼくは[行/い]かない。」と、ロジャがいった。「ぼくはピクト人(じん)の家へ[行/い]く。
(1) [詰(つ)/つ]め[開(びら)/びら]き航海(こうかい)――帆船(はんせん)が帆(ほ)を調節(ちようせつ)して、できるだけ風上(かざかみ)に[向(む)/む]かって航海(こうかい)すること。 訳注

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