2001. 3.14 高橋誠
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変更 内容 |
英語表記 |
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内容 |
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片手に手帳を、片手に鉛筆を[持/も]ち、 |
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| 生まれてはじめて、アビの類を見たの[である/だ]。 |
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| ディックはまっすぐ[に/]上湖へやってきた。 |
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| ヘブリデス諸島巡航の旅に仲間入りできると |
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| 鳥がまいおりた[、向/む]こう側の水面に、いちばん波が[立/た]っていた。 |
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遠くの方に目をやると[/、]鳥がさざ波の中から[、/]なめらかな水面へ |
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| 鳥は水中深く身を沈めて |
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| 鳥はまた[う/浮]かびあがってきたが、 |
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| 望遠鏡の接眼レンズをはずし、[はいた息/レンズ]のくもりをぬぐった。 |
unscrewed and cleaned the eye-piece of his telescope, misted over with his breath. |
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だいたい確信が[持/も]てた。 |
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| 頭と[くび/首]の[後/うしろ]側が灰色っぽく、[くび/首]の両側が黒白のしまで、のどには太い黒すじが |
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| 「オオハム[/。]」と、ディックは尊敬の気もちをこめて |
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| その名[前/まえ]を書きくわえた。 |
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| しかし、鳥の種類には確信を[持/も]っていた。 |
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| 鳥は、ディックの頭上を円をえがいてとぶと、下手の湖に[向/む]かうようにとび去ったが、南に[向/む]きを変えるのが |
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| 航海は終[/わ]りに近いが、 |
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| ディックは、[やや/ちょっと]こわばったからだで立ち[上/あ]がると、めがねをはずして[、たま/玉]をふいてから[、/]かけなおし、 |
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てっぺんの大昔の住居に[、/]三人の探[険/検]家をのこしてきた、 |
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| そこで、[一ヵ所さけ目があり、そこをぬける一本の車道で、となりの谷に通じている尾根を見わたしてみた。/となりの谷に通ずる車道が尾根をこえるさけ目を見た。] |
He looked along the ridge with a gap in it where that cart track climbed over into the next valley. |
| まもなく[、/]ひきかえして、ぼくを[探/さが]しにくるだろう。 |
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| あのオオハムほど見[がい/るねうち]のあるものはいないだろうが、時間のある間に見ておいた[方/ほう]がいい。 |
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| わずか一日の[/、]それも午後に二度な[どは/んか]のぞめない。 |
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すでに、きょうは、全航海を通じて、いちばんすばらしい日になったのだから。 [/(改行)]
オオハムが見られたことを |
Already his day was the most successful of the whole cruise.
Recjoicing in what he had already seen, |
| ようやく、湖がほそい川となって下の湖に流れこむ境[/い]の平地に |
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| 古代のピクト人が丘の上のあの家をたてた[頃/ころ]は、 |
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流れの石の上で、[白/]ワイシャツのような胸を見せて、 |
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母鳥が、ひなににげるすきをあたえるために、 |
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| ディックの歩いている土手のすぐそばを、 |
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| まもなく[、/]ディックは、[広/ひろ]いアシ床のへりを歩いていた。 |
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| 手帳に[</「]アイサ三羽[>/」]と書きこみ、 |
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| もう、午後の時間はすぎ去っていたが、 |
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| 一日がおわったことを知らせる[、/]シロクマ号の霧笛が[/、]きこえるかもしれなかった。 |
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| アシ床をこえると[つつみ/土手]が高くなった。 |
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| 湖側の岩と、うしろの[つつみ/土手]が、鳥から身をかくすにはとても[工合/ぐあい]がよいことを知っていたので、できるだけ水[際/ぎわ]を歩きつづけた。 |
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その[上、/うえ]この湖にある島は、特別[工合/ぐあい]よくできていた。 |
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| まん中には丸い石があり、 |
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| 平らで岸に草がはえていた。 |
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| あの鳥が谷間を出て南にとび[さ/去]ったと思ったのは、 |
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| ディックの足[元/もと]はもう水で、 |
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| [楽/らく]に観察するためにあつらえたような、 |
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| 鳥が泳いでいた湖上を[探/さが]した。 |
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| なめらかな丸い水面の片側にさざ波が[立/た]っているのが見えた。 |
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| 鳥はちょうど水から出てきたところで、[/水をひと口のむように]くちばしをちょっと水につけ[、一口のむように/てから、]頭をあげた。 |
It had just come up and he saw it dip its beak and lift its head as if swallowing a drink. |
| からだを深く水中にしずめ、[くび/首]を[持/も]ちあげて、 |
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| アイサを追って上湖にもどらなくて[運が/]よかった。 |
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すると、水[際/ぎわ]から一メートル |
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[確/たし]かだ。また動いた。 |
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| やっと水に入ったかと思うと、すぐに泳ぎ[出/だ]した。 |
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| さっき上湖で見たのと[同/おな]じオオハムだと確信していた。 |
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| 二羽がいっしょに泳ぐのを見て[、/]考えた。 |
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| それは、[荒々/あらあら]しい笑い声に似ていた。 |
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| まるで、二羽の大きな鳥が、[途方/とほう]もない冗談を |
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| 浮かび[上/あ]がった時には、だいぶはなれていた。 |
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| 一羽が島に[向/む]かって泳いできた。 |
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| ディックには確信が[持/も]てなかったが、 |
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| [同/おな]じ鳥かどうかはわからないが、足は、やはり[、/]よたよたしていた。 |
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| そして、ディックがはじめに動くのを見た[、水際/みずぎわ]の草むらにとまった。 |
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だんだん島からはなれていき、[時々/ときどき]水にもぐると、 |
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| [全然/ぜんぜん]見当ちがいなところに浮かびあがったりしている。 |
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| ディックは、望遠鏡をすわっている鳥に[向/む]けたまま、 |
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| 見分けのつかない小石の間にたまごを生むカモメのように、 |
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| 今泳いでいる鳥が、あまり時間をとらずに |
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| [彼/かれ]らのどんな冒険よりおもしろいなどとは、[ちっとも考えはしないのだ/考えてみたこともない]。 |
not thinking for a moment |
| 頭上の[つつみ/土手]がじゃまして、ティティたちが谷間を[下/くだ]ってくるかどうかは見えなかった。 |
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| そこで、また鳥の方に目を[向/む]けた。 |
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小さな望遠鏡[は/も]、 |
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役には立つ[が/けれど]、これだけはなれていると、 |
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| 巣についている。」と走り[が/書]きした。 |
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| ディックは、もう一度手帳を[出/だ]して、さっき[書/か]いたところに |
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| 湖の[マス/ヤマメ]が岸辺に[向/む]かって夕ぐれの移動をはじめたので、オオハムもよりよい[猟/漁]場をもとめて、[マス/ヤマメ]の後を追うのだろうか、 |
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trout |
| からだ全体は、最初見た[時/とき]考えたより、 |
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浮かび[上/あ]がったところは、 |
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手帳のリストにその名[/まえ]を[か/書]きくわえたが、すぐに、大オオハムは[大ブリテン島に/イギリスで]は巣をつくらないことを思い[出/だ]した。 |
Great Britain |
| オオハムの名[前/まえ]を書いた手帳のページは、 |
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| 巣をつくらないことを思い[出/だ]して、 |
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| その[上/うえ]、疑問符もいくつか |
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| 黒い[くび/首]に、黒と白の[縞もよう/しま模様]が二[ヵ/か]所あるのが |
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| また手帳にその名[/まえ]を書きこんだが、 |
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| 書いた名[前/まえ]を消し、[あたら/新]しいページを出した。 |
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| あの鳥の頭と[くび/首]をスケッチして、シロクマ号の船室にもどった[時/とき]、 |
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| 二[ヵ/か]所ある[縞もよう/しま模様]のありさまは、 |
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| そして、この[あたら/新]しい鳥も、たしかにアビやオオハム[の/と]同類だった。 |
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[</「]大オオハム[>/」]と書き、 |
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| すこし説明の字を[か/書]きくわえたちょうどその時、 |
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| [おーい/アホイ]! ディック! [どこだ?/アホイ!] |
‘Ahoy! Dick! Dick! Ahoy!’ |
| 鳥は、探[険/検]家たちのさけび声をきき、 |
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| いそいで島に[向/む]かって泳ぎ去っていったが、 |
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| 頭だけだして泳いで[行/い]くところは、 |
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| ディックは[た/立]ちあがり、 |
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| 探[険/検]家たちがのろのろ走ってくるのを見て、 |
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| 挿絵のキャプション:ディックの手帳の[あたら/新]しいページ |
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岸辺から[つつみ/土手]にあがった。 |
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| と、ティティが息を切らしながらいった。 |
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| どなってみた[方/ほう]がいいって、ドットがいったのよ。」 |
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| 敵意ある[島人/島の人]たちに。 |
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| ディックも、いつの間にか[、/]みんなといっしょに走っていた。 |
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| 「わたしたちは、[後/あと]をつけられたわ。」 |
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四人は、速度を[落/お]とさずかけ足をつづけて、 |
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| 湖から流れ出る小川の土手を通って、 |
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| 潮のひいた小さな入江に足をだして[た/立]っていたが、 |
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| 「ボートで[行/い]くから。 |
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| 追跡をあきらめたわ。」[と、/]ふりかえって川の方を見上げたドロシアが、 |
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| [後/あと]をつけたことが、すっかりむだだった |
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「べんとう[食/た]べてから、千キロ半歩いたもの。」 |
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| 船に[向/む]かって岸をはなれる間、 |
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| 「あのサンドイッチはいつ[食/た]べた?」 |
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