実例 大規模修繕(2)

12年目マンションの改修工事
設計監理の記録 



 

 UPDATE 1998.11.3

 


このページは、()テツアドー出版社と()日欧設計事務所の岸崎隆生様のご好意により公開できました。 設計と工事監理に関する情報を、設計と工事監理者の立場から記載してあります。 なお、一部の会社名等は伏せてあります。

岸崎様のご厚意で、メールアドレスを公開しています。ご相談がありましたら、直接連絡して下さい。
nichiou@pop06.odn.ne.jp

 
隅田川の土手からA棟を見る。  A棟屋上からB,C,D棟を見る
14
階から4階までルーフバルコ                 
ニーが連続している                      

 


 

Rマンションの大規模修繕工事を振り返って


(有)日欧設計事務所 岸崎隆生 さん


(1)
バブル崩壊後も値下がりしないマンション

 Rマンションは467世帯と規模も大きく,A棟からE棟まで,エキスパンションをはさんで折れ曲がりながら,低層部では東西に46戸連続し,14階の高層部から4階の低層部までは連続したルーフバルコニーが階段状につながる複雑な形状をしながら,1棟で1つの街区を形成している。
マンションの値下がりが続く中,Rマンションは,バブル崩壊後も値下がりしないマンションとして,NHKの「クローズアップ現代」で取り上げられた。
 値下がりしない条件としては,
  1.職場に近く,通勤に便がよいこと。
  2.商店街も近くにあり,日常の生活の便がよいこと。
 等があげられるが,最も大切な条件は,
  3.いつまでも住み続けられるようなマンションに保ちたいという
    居住者の意識が,管理組合の運営の中に反映されていること。
 ではないかと思う。
このことが,今回きちんとしたマンションの長期修繕計画をつくり,それに基づいた大規模修繕工事を行うためのエネルギーとなった。

(2)初めてマンションを訪れて

 平成8年8月,共同設計五月社の三木哲氏と私が設計監理者選びの話を聞き,築10年のRマンションを訪ねたときの印象は以下の通りであった。
1.ひび割れが多く,開放廊下の天井にはエフロレッセンスが多く見られ,漏水対策が必要な気配が窺えた。
2.鉄筋の露出は庇の先端に見られる程度で,心配するほどのことはないように思われた。
3.鉄骨階段には錆は無く,鉄製の手摺りの錆も目立たなかった。しかし,パイプスペースの扉,消火栓用箱,機械駐車施設等の錆はかなり進行していた。
4.屋上のアスファルト防水の表面は膨れが目立ち,ルーフバルコニーは,パラペット際防水層の立ち上がり部分の破断が目立った。漏水の度に補修された形跡も見られた。

 


長く住み続けるための第一回目の大規模修繕


(3)12年目の改修工事と瑕疵

 改修設計に入る前に,躯体のコンクリートや外部の塗装,屋根防水の調査・診断を行った。その結果,ひび割れ等の躯体の欠陥や,屋根防水の欠陥による漏水箇所が数多く見つかった。雨かかり部分の塗膜の浮いている箇所もあった。
 今回の工事では躯体の欠陥や,漏水の原因になる欠陥は,完全に改修し,安心して長く住み続けられるマンションになるよう心がけた。
 元来,マンション販売会社はひび割れや漏水の無いマンションを造り,販売する責任がある。また,ひび割れや漏水が見つかれば,10年の瑕疵担保期間内に自主的に補修して欲しいものである。
 公団の分譲マンションの場合,10年を越えても,事前に連絡しておけば,ひび割れ等躯体の欠陥は瑕疵として補償してもらえる制度になっているが,民間のマンションの場合補償してもらうのはなかなか難しい。
 今回の工事の中にも,建設当初からの瑕疵に相当する躯体の欠陥,防水の欠陥に起因する漏水,それ以外にも瑕疵と思われるものがあった。
 瑕疵に相当する欠陥の改修工事金額は約3,500万円になった。竣工後12年経過しているが,販売会社と元施工業者に工事費の負担を要求した。
 販売会社と元施工会社は瑕疵担保期間は過ぎていたが,約1割の負担に応じてくれた。

(4)大規模修繕委員会

 最近管理組合主導で大規模修繕工事を計画するマンションが増えている。理由は,管理会社でやる改修工事では,工事の仕様内容や,工事業者の選定が不透明であるとか,建設当初からの瑕疵等はうやむやになるという心配によるところが大きい。
 Rマンションでは,大規模修繕に当たり,管理組合主導で工事をすることを決め,1995年管理組合の中に修繕委員会が作られた。
 修繕委員会は設計監理者や工事業者の選定だけでなく,建物の調査診断に立ち会い,改修設計の仕様内容にも希望を述べ,工事期間中は設計監理者及び施工業者との工事の節目毎の打合せを,居住者に代わって行った。
 居住者に対しては,広報誌「大修繕」を発行して,修繕委員会で打ち合せた内容を解りやすく伝えた。
 「大修繕」は1995年の0号から始まり,工事が終わる1997年8月の24号まで,計25回発行され,居住者の気持ちを大規模修繕に向け一つにしていく上で大きな力となった。
 今回の大規模修繕の成功は,修繕委員会全員の熱意によるところが大きかった。

(5)長期修繕計画の作成

 改修設計に入る前に,マンションを今後資産価値を下げずに長く住み続けて行くためには,今回の工事でどこをどう直すのが良いか,今後6年後,12年後,18年後,24年後にはどんな工事が必要になり,そのための工事費はいくらになるかを計算し,表にまとめた。工事費の算定にあたっては,数量調書,仕上げ表を事前に作り正確を期した。
 工事費に対して,修繕積立金は現在いくらあるのか,将来の工事に備えて,修繕積立金をどのくらい値上げしないといけないかをグラフで表した。

   

 幸いなことに,Rマンションの修繕積立金は,今回の工事の費用を賄うには余裕があった。しかし6年後,12年後の工事の費用を考えると,修繕積立金に不足が生じることが分かった。
 そこで,工事の始まる前,199711月の臨時総会に修繕積立金の値上げ案が提案され,認められた。

(6)工事業者の選定

 施工業者の選定に当たっては,月刊リフォームに広告を出し,工事業者を募集した。31社の応募があり,会社の規模,マンションの修繕工事の実績等を考慮し,14社にしぼり現場説明を行った。
 14社の見積は表2の通りである。
 時節柄,修繕委員会では業者選定には大変慎重であった。帝国データバンクの資料を取り寄せたり,株価の比較表を作成して検討した結果,見積金額は2番目だが信用度の高い清水建設と面談し,最安値で工事を依頼することに決定した。また契約に際しては,履行保証を求める等,安全を期した。

     表2 見積比較一覧


   業者名       総工事費 


    A      407,000,000
  清水建設     407,400,000
    B      434,140,350
    C      443,084,544
    D      446,250,000
    E      446,250,000
    F      451,500,000
    G      462,000,000
    H      466,200,000
    I      472,500,000
    J      493,500,000
    K      500,000,000
    L      514,500,000
    M      588,000,000


 

(7)工事期間と請負会社の対応

 199712月に工事契約を行った。工事は1998年1月から始まり,完了したのは8月末であった。
 工事期間中,工事を請け負った清水建設の居住者に対する対応は大変良かった。1階のホールに週間・月間工程表と週毎の工事内容を掲示し,工事毎に各戸へ工事内容を示す「ちらし」を配付する等,細かい配慮が行き届いていた。そのため工事もスムースに進行し,大きなトラブルも無く,修繕工事が完成した。
 この間工事に従事した人数は,現場所長も含めて,延べ12,500人になった。
 以上の工事完了までの経緯を図で表すと図3のようになる。


Rマンション大規模修繕工事の内容


(8)足場架設工事

 
写真1               写真2            
足場架設と同時にB棟南,洋風庭園  B棟A棟開放廊下側を見る。足場
に植木鉢等の仮置き棚を設け,各戸  の解体は,5月初めA棟のバルコ
のバルコニーの植木鉢の移設を    ニー面から始まり,解体し終わっ
居住者にお願いした。        たのが7月末であった。    

(9)躯体改修工事

 事前の調査では,海の近くにも関わらず,躯体の中性化の進行状態は遅く,躯体は健全であった。

1.剥離・除去・ケレン 
 外壁の塗膜の付着強度は全ての箇所で5〜7kg/cm2あったが,外壁の妻壁や雨かかり部分の塗材はウレタン系の弾性塗材で,塗膜が膨れていたり,内側に雨水の浸入している箇所もあった。躯体改修を完全に行うため,外壁面の塗装は剥離・除去・ケレンすることにした。

2.剥離・除去・ケレンと洗浄・清掃
 塗膜の剥離・除去・ケレンは,(株)ワラテックのウォーターブリット工法を採用した。これは80度の温水と空気を混合させ,450kg/m2の圧力をかけて塗膜を剥離させる工法であったが,ケレン後の躯体の表面は荒れたため,全面的にモルタル補修をした。
 そのため1,460万円の追加工事費が発生したが,今後の課題である。
 開放廊下や,バルコニーの内壁や天井は450kg/m2の圧力の温水で洗浄した。

使用した水量と費用
外壁面:剥離・除去・ケレンした面積     16,700m2
バルコニー内壁,天井他:洗浄・清掃した面積 39,000m2
使用した水の量             2,750m3
 水道料金に換算すると210万円になった。これは管理組合負担である。

3.躯体改修
 ケレンと洗浄の終わった後,鉄筋の露出,コンクリートのひび割れ等,形状・寸法を調査,施工図に記入した。
 躯体改修にかかった費用は,あらかじめ想定しておいた数量と,実際の施工数量との増減により精算した。結果は,想定していた数量の範囲内でほぼ収まった。
 躯体改修費用に関しては,瑕疵として販売会社と元施工会社に工事費の負担を要求した。

ひび割れの補修
 0.3mm以下のひび割れは,ポリマーセメントモルタルペーストをすり込み補修した。
 0.3mm以上のひび割れはダイレクトシール,エポキシ樹脂低圧注入工法で修理した。特に,漏水の危険のあるひび割れや,躯体の入隅部のようにひび割れの発生し易い箇所は,Uカットし,シールした。
 0.3mm以上のひび割れで特に問題になった箇所は,手摺り壁と外壁の取り合いの部分である。この部分は1階から14階まで連続して大きなひび割れがあった。ひび割れのいくつかは,補修されていたが,補修されていない箇所で,ひび割れの幅を測定してみると,2〜3mm以上あった。
 このようなひび割れに関しては,構造上危険と判断し,全ネジ切りステンレス鋼φ13mmで縫合処理を行った。

鉄筋露出部分の補修
 建築基準法で鉄筋に対するコンクリートの被り厚さは30mm以上と定められているが,鉄筋が錆びてコンクリートを破壊し,鉄筋が露出している部分のコンクリート被り厚さは,いずれも2〜3mmと少なかった。

 以下に実際に施工した躯体補修の施工数量を示す。

     表3 躯体補修数量


               施工数量


 ピーコン跡          1,205ヶ所
 鉄筋補修
       10cm角以下   12,650ヶ所
       10cm30cm     165m
 欠損補修
       10cm角以下    4,763ヶ所
       10cm角以上    680ヶ所
 手摺根元補修         485ヶ所
 モルタル浮き補修 注入     2,772
 ひび割れ補修 0.3以下     3,817m
 ひび割れ補修 0.3以上
  ダイレクトシール      4,526m
  エポキシ樹脂低圧注入     499m
  エフロレッセンス      1,357m
  Uカットシール       1 079m
  縫合処理            27m



(10)防水改修工事

 今回の工事では,海に近いこともあり,塩分を含んだ雨水が躯体内に浸入しないよう,シーリングの改修や,屋根防水の改修以外に,新たに開放廊下の床やバルコニーの床に防水工事を行った。

−1.コーキング・シーリングの改修工事
1.シーリングの打換え
 事前の調査で,シーリング材はかなり劣化が進んでいることが判明した。コンクリート打継ぎ部等に使用されているアクリル系シーリング材には,カビや藻の発生,変色が見られた。また硬くなって,防水機能も低下していた。
 建具廻りの油性コーキング材も,かなり奥まで硬く,防水機能も低下していた。金物取付け端部廻りのポリウレタン系シーリングも同様に劣化が進んでいた。
 今回の工事では,全てのシーリングの改修を行った。

2.目地新設
 バルコニーの手摺り壁と外壁の入隅部,庇と斜壁の入隅部,出窓と外壁の入隅部等ひび割れの生じやすい箇所は,Uカットして,シーリングを新設した。
 手摺り支柱の付け根等金物が躯体に埋め込まれている部分で,シーリングの施されていない部分もUカットして,シーリングを新設した。

−2.屋根防水改修工事
 建物の形状に合せて,既存屋根の防水仕様も4種類あった。特にルーフバルコニーの防水は劣化が著しく,屋上に出てみると,漏水が度々起こったのであろう,補修した箇所がいくつも見られた。
 事前のアンケート調査結果では,雨の日に室内に漏水している住戸が7戸,雨の翌日になると漏水する住戸が3戸あった。

1.最上階の非歩行部分:
  アスファルト防水・露出工法
1−1.膨れ:パッチング補修
 住棟最上階の屋上はアスファルト防水露出工法,砂付きルーフィング仕上げであり,膨れている箇所が多数あった。膨れ部分は切り裂き,溶融アスファルトを流し,密着させ,砂付きアスファルトルーフィングで仕上げた。
膨れ箇所は施工図に記入し,施工費はあらかじめ想定していた数量と実際の施工数量との増減により精算した。B棟の屋上は図4のように膨れの著しく多い部分は全面的に改修した。
1−2.屋上通路部分の改修
(写真のページ参照)
1−3.ゴミ集積所屋根
 防水の劣化は著しく,膨れが多く,防水層の裏側に水がまわり,踏むと水が噴き出す状態であった。
 建設当初からの漏水は居室でないこともあり補修されないまま放置されていた。エフロレッセンスも著しく発生していた。 (写真1820

2.ルーフバルコニー:
  アスファルト防水・押さえ工法
 ルーフバルコニーは,アスファルト防水の上に,断熱材として発泡スチロールをはさみ,押えコンクリートで仕上げている。しかし,押えコンクリートの膨張を吸収するための伸縮目地が見かけだけのものであったため,コンクリートが膨張し,パラペット際で防水層が破断し,住戸内に漏水する原因となった。
今回の工事では,パラペット際のコンクリートを撤去し防水の改修を行った。

−3.開放廊下,バルコニーの防水工事
 開放廊下,バルコニーの天井には,エフロレッセンスがあちこちで見られ,漏水の多いことを物語っていた。事前のアンケート調査では,開放廊下,バルコニーの天井からの漏水は,A棟:33,B棟:11,C棟:15,D棟:36,E棟:16であった。
 今回の工事では,バルコニーの床はウレタン防水,開放廊下床は既存の長尺塩ビシートを撤去し,超速硬化型ウレタン防水を施工した後,長尺塩ビシート仕上げとした。

−4.雨かかり部分の防水性能の高い塗装仕上げ工事
 Rマンションの場合,外壁から庇,パラペット,パラペット天端と連続している。外壁と同じ色調の仕上げに見せるため,この部分は防水性能の高い複層弾性塗材E1で仕上げた。

(11)外壁塗装工事

1.色の決定
 外壁の色によって建物のイメージが大きく変わる。当初の白い色はかなり汚れていたため,我々は汚れにくい落ち着いたベージュを提案し,理事会と修繕委員会に計ったが,当初からの白い建物に対する憧れが強く,我々の提案は否決された。
 そこで当初の白色と,クリーム色の1m角の色見本を作り,居住者のアンケートを取った。
 結果は当初からの白色に決定した。

2.水性塗料
 居住者が生活している中で行われる改修工事では,臭いの強い溶剤系の塗料より,水性塗料の方が好まれる。世の中の趨勢も地球環境に優しい水性塗料に移行しつつある。
R
マンションでは,水性塗料を採用した。
剥離・除去・ケレンした外壁は,ケイ酸質系塗材,バルコニーや開放廊下の内側の壁は,高圧洗浄後変成シリコーン系塗材で仕上げた。
当初外壁面を水性で仕上げる場合,エフロレッセンスが出る心配もあったが,エフロレッセンスは出ず無事仕上がった。これは,塗料メーカーの菊水化学工業の長年の研究成果によるところが大きい。

(12)ダクト清掃工事

 台所の換気扇の清掃はするが,浴室系換気扇の清掃をする人は少ない。ましてやダクトの清掃をしたことがある人は少なく,事前のアンケート調査では,90%の居住者が清掃をしていなかった。
 換気の具合については,台所の換気扇の引きが悪いという回答が82戸,浴室系換気扇の引きが悪いという回答が99戸と多かった。
そのような訳で,今回全戸の換気扇のダクトの清掃を行うことにしたが,居住者には好評であった。
ダクトの清掃を行ってみて,当初からの瑕疵の多いことが判明した。瑕疵に関しては販売会社と元施工業者に費用を請求した。

1.点検口の無い住戸:1戸
  点検口を新設し,ダクト清掃と集中換気扇の清掃を行った。
2.点検口の位置と浴室系換気扇の位置が悪くダクトの清掃の出来ない住戸:28
 元施工会社に点検口の取り付け位置の変更を依頼し,変更されたところから,ダクト清掃を行った。
3.ダクトの中に養生シートが詰まったままの住戸:21
 竣工前,塗装が済み,養生シートを撤去しないままキャップを取り付けたものと思われる。
 台所の換気が悪くても,こういうものかと諦めて,何時も窓を開けて炊事をしておられた住戸もあった。
4.集中換気扇のダクトの接続ミスが1件あった。
 この住戸では,排気ダクトが便所の排気孔に接続されていて,換気扇を回すと便所の天井から排気が出てくる状態であった。便所の臭気は居室に出て来ただろうし,夏など,浴室の湯気も便所の天井から出てきて,さぞ暑かったであろう。良く12年間辛抱されたことと思った。

(13)金物等雑改修工事

1.エキスパンション
 事前の調査で,エキスパンション金物取付け端部廻りの躯体の損傷が目立った。小さな地震動にも追随できない手摺りは,接続部分をカット,躯体埋込端部は斫り,ポリマーセメントモルタルにより整形した。

2.その他金物(写真のページ参照)

(14)鉄部等塗装・研磨清掃工事

鉄部塗装
 海の近くにもかかわらず,鉄骨階段,手摺り等の鉄部には亜鉛鍍金が厚く施されていたため,腐食の度合いは少なかった。
 しかし,耐塩害対策を講じていない鉄製品,例えば消火栓用箱とか,機械駐車施設の腐食は著しかった。
 耐塩仕様になっていても,開放廊下の天井付き蛍光灯は,AB棟では錆が出ていた。

(15)外構

1.機械駐車施設
 96台ある地下埋込式2段の機械駐車施設は,20台のパレットを交換する予定であったが,調査が進むにつれ全数交換が必要になった。
 雨ざらしで,12年間塗装をしないと鉄は錆びて,厚さが強度上危険なまでに薄くなった。
 駐車施設を上げて地下の状態を調査してみると,水下より水上が低い状態で,床には常に水が溜まっていた。
 床のレベルを測定し,モルタルで床勾配を調整した。調整にかかった費用は,瑕疵として販売会社と元施工会社に負担を要求した。

2.駐輪場
足場を架けるにあたり,駐輪場の屋根と駐輪施設は仮置き場に移設,自転車は全て他の場所に移動した。

(16)給水・電気設備

減圧弁の交換
事前のアンケート調査では,水の出が悪いという住戸は46戸あった。
各住戸への水の供給は,集会室棟の1階の受水槽から,圧力ポンプで送られている。1階から6階までの住戸は水圧が高くなるため,減圧弁が取り付けられている。
水の出が悪い原因は,この減圧弁の調整不良と,経年での損傷による。各戸のメーターボックスの扉を開けてみると,圧力ゲージには水がたまり,圧力ゲージが2kg/を指している住戸でも水の出が悪かった。減圧弁は12年間清掃されたことは無かった。
 今回工事では,圧力ゲージの更新と,減圧弁の清掃を計画していたが,部品が無く,減圧弁も全て交換した。

 表4 使用材料及びメーカー


外壁塗材剥離 ウォーターブリット工法        ()ワラテック
高圧水洗浄                     ()シンショー

浸透性中性化防止材 RF-100                ()小野田

エポキシ樹脂低圧注入工法 E-206            コニシ()
弾性エポキシシール材 エポソフトグラウトDS-L  東京ハマタイト()
ウレタンシーリング材 Mプライマー ベルエース P-6000
                       日本エヌエスシー()
モルタル浮き注入 E-209 ネジ切りステンレスピンφ5 L=50 コニシ()
排気筒廻り Mシール ボンドシールプライマー#9      コニシ()
床,巾木端部目地 ボンドEプライマー ボンドE-600    コニシ()
縫合処理 E-209 ネジ切りステンレスピンφ13 L=150    コニシ()

ポリマーセメントモルタル  BR-C BR-AD BR-L    菊水化学工業()
ポリマーセメントモルタル ネオモルBF       菊水化学工業()
ポリマーセメントモルタル 吹き付け材        菊水化学工業()
フィラー処理 セメントフィラー          菊水化学工業()
アクリル樹脂系下塗り材 バンノウSプライマー    菊水化学工業()
外壁面塗装 シリカペイントB            菊水化学工業()
居室廻り壁 ビュウトップシリコン          菊水化学工業()
防水型複層塗材E-1 ラバーウォール・R       菊水化学工業()
弾性ポリウレタン樹脂塗料 弾性ウレタン仕上げ     菊水化学工業()
水系アクリルシリコン塗料 セラミカルコート    菊水化学工業()

反応硬化型エポキシプライマー ハイポン20エース   日本ペイント()
合成樹脂調合ペイント CRペイント上塗り      日本ペイント()
中油性アルキッド樹脂ペイント HI-CRデラックス300G 日本ペイント()
塩化ゴム系ペイント ハイポン20エース ハイラバーEスーパー中塗 上塗
                         日本ペイント()
タールエポキシ樹脂塗料 エポタールS        日本ペイント()
塩化ビニール樹脂エナメル ラバラックー3000     日本ペイント()
キシラデコール                   武田薬品工業()
浸透性撥水材 アクアベール             菊水化学工業()
浸透性撥水材 シランコートHS            菊水化学工業()

アルミ・ステンレス防錆研磨材 ウォールガード20005000
                         日本マンセル()

ウレタン塗床防水 サラセーヌ     旭硝子コートアンドレジン()
超速硬化型ウレタン防水 サラセーヌS手塗り 
                   旭硝子コートアンドレジン()
長尺塩ビシート タキストロンNS EA-956        タキロン()

ポリマーセメントモルタルリポータイト     田島ルーフィング()
熱アスファルト露出工法            田島ルーフィング()
アスファルト系コーチング 強力ガムシール   田島ルーフィング()
改質アスファルトトーチ工法 ポリマリットスムース25
                       田島ルーフィング()
遮熱塗料  ダイクール                ダイトー技研()

ステンレス製郵便受け箱 MX-12         田島メタルワーク()
ステンレス製・排気換気ガラリ 15MGF 10MGF 07MGF 07MCA
                           アイエム()
ステンレス製・換気ガラリ 50丸形キャップ NO311421 杉田エース()
ステンレス製・換気ガラリ 50換気エルボ     大建プラスチック()

減圧弁・圧力ゲージ ハウスマン・耐10・圧用      ()本山製作所
消防用高架水槽 ヒシタンクGSH型 600L        三菱樹脂()
照明器具                          東芝()
特殊塩ビフィルム PLE-802803 PM-1614
                  ()セキスイサインシステム東京
機械式駐車施設 パークエース                二宮産業()