長期修繕計画の作成ソフト紹介



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 横浜の河野さんから、マンションの長期修繕計画を作成した便りがありました。パソコンのソフトで作成できるそうです。結果の一部も送ってくれましたので、公開してあります。  送って戴いた作成例です。

必要な方には、相談に乗って戴けるそうなので、下記に連絡して下さい。但し、 内容(作業量)によっては、有償になりますのでよく相談してみて下さい。
 builtech@ha.bekkoame.ne.jp  河野さんのコメントはここです

 ソフトを使うことになった経緯と効果が分かりますので、少し長いですが、河野さんのメールをそのまま公開します。

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はじめまして。私は神奈川県横須賀市在住の河野修一と申します。
長谷部さんのHPを拝見しましてメールいたします。

 まず、自己紹介をしておきますが、私は現在43才で小さいながら設計事務所を経営しております。ただ、普通の設計事務所と違って、新築物件はいっさい扱っておらず、現在までは建物の耐震診断ばかり行ってきました。

 ご承知かとは思いますが、耐震診断というのは、主に新耐震以前に設計された建物に対して、その耐震性を再検討するという仕事で、その建物の耐震性が基準より低ければ、続いて耐震補強設計を行ったりしています。しかし、こういうことが成されている建物はほとんどが学校等公的な物件ばかりで、マンション等の一般的な建物についてはほとんど行われていません。

 これは費用の問題が一番大きな点なのですが、耐震診断に掛かる費用よりも、むしろ、耐震診断をして補強が必要となったときに補強工事費が莫大な金額になるということが大きく影響しているように思います。これは、もし地震が起きれば一番に人的被害が出るであろう住宅に耐震診断が行えないという不合理を示しています。

 私自身耐震診断を仕事とするようになって、10年近くになりますが、当初は、地震の被害から建物・人命を守る仕事であるという自負心も持てるし本当に良い仕事だと考えていました。しかし、これまで100棟以上の耐震診断を行ってきても、民間マンションの耐震診断というのは皆無であり、最近はこの点について疑問を感じ始めていました。

 そんなとき、私にも自分が住むマンションの理事のお役が回ってきたのです。そして、自分が住むマンションの管理状態を知ってみると納得できる点がたくさんありました。私が住むマンションは築20年が経過しており9年ほど前に大規模修繕を済ませていましたが、それでも最近では鉄筋爆裂・漏水等が目に付くようになり、2〜3年後には再び大規模修繕を行わなければならないような状態です。しかし、なにしろ築20年の建物ですから大規模修繕まで待てずに修繕が必要になってくる箇所が発生し、その度に結構な出費となるので、思ったほど修繕積立が貯まらないのが現実です。

 でも、2〜3年以内には大規模修繕を行いたいという要求はあるわけで、そのための修繕積立金の見直しが検討されたのですが、ここで不思議に思ったことがあります。それは理事さん達の誰も目標金額に関する具体的な考えがないのです。「以前の大規模修繕にはこのくらい掛かったから、今回もこれくらいだろう。」「だからこのくらい修繕積立金を増額すればいいんじゃないか」などという感じで、話は進行していき、結局は各戸があまり負担にならない金額で増額し積立金の貯まるのを待って業者に見積を取ってみようということになりました。ここで問題になってくるのは、当マンションには適切な長期修繕計画が存在しないということです。

 そのことを理事会で発言すると、「それじゃ、河野さんなんとかしてよ。」ということになり私が長期修繕計画を作ってみることになってしまいました。しかし、建築構造に関することならある程度わかってるつもりですが建物のメンテナンスコスト(MC)に関しては門外漢ですから、どうして良いかさっぱりです。そこで、恩師に相談したところ、マウスというソフトを紹介されました。

 このソフトは「建築MC解析」、「設備MC解析」、および「マクロ機能分析」の3つから構成されており「建築MC解析」と「設備MC解析」は維持保全のコスト解析で、現状目視調査や聞き取り調査を行って、主として部材や機器の劣化変状・異常に基づいて中長期的な維持保全費を予測するプログラムとなっています。また、「建築マクロ分析」は変状や異常の程度をいろいろな視点(耐久、安全、快適、使用)から見る”機能分析”のプログラムで、現状目視調査データに加えて建物の属性、立地環境あるいは使用環境も考慮されるようになっています。

 いろいろと悩みもしましたが、他に良い手段も見つからず、最終的にはこのソフトを用いて長期修繕計画を作成することができました。その後、理事会で報告することになりましたが出力結果がカラーのグラフで出てきたりして建築には素人の理事さんにも分かりやすいため概ね好評で、修繕積立金の見直しを適切に行うことができました。

 今回、メールを差し上げたのは、長谷部さんのHPを拝見して他にもこういった問題でお悩みの方がいるのではないかと考えたからです。もしも長期修繕計画を見直したいという方がいるのなら微力ながらお役に立ちたいと考えています。お察しの通り、もしも需要があるのなら私の経営する会社で商売にしてみたいという色気があるのは事実です。しかし、耐震診断よりも長期修繕計画を適切に作成して建物の健全な維持保全を行う方が世の中のためになるのではないかと考えていることも事実です。

 何事も理想と現実は一致しませんが、建築に携わるものとしては、バブル期のように雨後の竹の子のような建築ラッシュはとても健全な姿とは思えません。今後の膨大な建物ストックを適切に維持保全していくことこそが大切だと考えています。

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