日常管理の改善 

管理会社の変更事例

1999.2 臨時総会で管理会社の変更を決定!!

管理会社の古い体質に管理組合の強い意志で挑戦
年間で約1400万円の経費節減を達成 


私自身は理事を退任しているので、細かい事情はわかりませんが
理事当時の資料と現理事の方からの情報を併せて紹介します。

NEW 管理会社交替に実際にタッチした当時の理事さんから、
貴重な体験談を寄せてもらいました。別ページにまとめてあります。

 管理の質改善の必要性 

  • 居住者の声
     歴代の理事さんや知り合いの間で、現在の管理会社の問題発生時の対応が悪い、窓口解放時間が短く不便等の声がありました。
     理事会で実施されたアンケートでも、対応の悪さ(建物の日常管理に鈍感、管理室でペットを飼育しているなども含めて)、改善の意志が見られない点がはっきりしました。
        項 目           比 率
     管理室(人)の対応が悪い      36%
     雨漏り等建物の傷みがそのまま   28%
     ペットの苦情改善して欲しい    18%
     居住者のモラルアップのアピールを 15%
     共有部分の清掃の質低下      15%
     自転車置き場整理         13%
     管理室の時間延長         13%
     誤報時等のアナウンス改善     13%
     ごみ置き場の整理         10%
     違法駐車の取り締まり        8%
     外部の人の出入りが多い       8%
     ピンクチラシ等の取り締まり     8%
     その他
      電気、水道、ガスなどのメンテナンス会社の
       連絡先リストが欲しい
      来客用駐車場が欲しい
      レンタカー仮置き場が欲しい
      ピアノなどの上部階の音がうるさい
      自動販売機の周りが汚い
      タバコの自販機は撤去して欲しい
      植裁が貧弱になっている
      駐車場の抽選方法改善
      総会に書類が見にくい
    
  • 理事の声
     上記のアンケート以外のアンケート調査結果でも、日常管理の問題点は種々挙がっていた。それらの問題点を理事会で検討しても、管理会社の積極的な対応と適切な提案がなく、理事の間にも不満がたまっていた。
     そして決定的な動機は、NHKTVの特集で管理会社を変更して成功して例が紹介されたことです。管理人さんが定年で交代する時期を迎えていたことも重なり、一気に見直しの気運が高まりました。


     管理会社再検討 

     見直し作業のはじめに管理会社数社に同一の条件で見積もりを出してもらい、管理の質改善の検討を行いました。見積もりを依頼した管理会社は、マンション管理に関する新聞を発行している会社から、紹介してもらいました。もちろん現在の管理会社も含まれています。その検討結果を一覧表で示します。

      
    管理会社別 見積もり比較表 (別ウィンドウで開きます)

     最大の決定要因は、費用でした。現在の管理会社も、従来より年間で戸あたり約5千円ほどのコストダウンを提案してきましたが、比較表で見ると従来より3万円も低い見積もりを提示してきたところもありました。
     内訳を検討すると、委託管理料、駐車場保守費、昇降機点検費など企業努力の結果であることが確認できたので、管理会社を変更する決断をしました。
     1 会社規模に対する役員数など、経営の効率化が認めらる。
     2 駐車場と昇降機の点検会社と交渉し、コストダウンの努力をした。
    等の点が決め手でした。コストダウンは修繕積立金を2500円値上げしたことに相当します。

    もちろん費用以外のポイントも重要で、主には
     1 経営トップが具体的な提案を積極的に行ってくるなど、
       経営姿勢に好感が持てる。
     2 管理組合が管理人のプロファイルを指定できる。問題がある場合
       は交代を要求できる。
     3 事務所窓口の朝晩の営業時間を延長できる。
     4 長期修繕計画に対する取り組み姿勢。
    などですが、住民にとっては当然な内容ばかりです。しかし、いずれも現在の管理会社に対する不満が背景にあるため、重要視されました。こんな当然な点が決め手になるところが、現在のマンション管理業界の問題点であるような気がします。

    居住者の不安は?
     しかし決定のための臨時総会では、管理会社を変更することに対する不安が多く出されました。本社が東京にないので対応が遅くなるのでは? 十二年間の実績が無駄になるのでは? 仕事を取るためのダンピングではないか? 管理の質が落ちるのではないか? 等です。しかしそれらは実情をよく知らないための不安で、管理組合が自信を持って一つ一つ応対し納得していただきました。結果的に反対票は4票(全住民の1%)で、多くの方の賛同を得て承認されました。


     管理会社、管理組合の課題 

     現在のマンション管理業界と管理組合には、多くの問題点があると思います。マンション管理会社の多くは、新築時の施工者の一部門や関連会社である場合が多い。今回見積もりに参加した管理会社も、ほとんどはデベロッパーの関連会社であった。よく指摘されるように、ほとんどのマンションは、新築時に無競争で指定の管理会社が管理を請け負い、その後も抜本的な見直しをせずに、自動延長契約で推移しているのが一般的ではないだろうか。

     現在のぬるま湯体質が、上述した「住民にとっては当たり前の要求」が、革新的なことに感じられる状況を生み出していると感じます。最近は新築分譲の際のうたい文句で、「管理の質」を強調している例もでてきてはいますが、マンション管理業界全体がもっと近代的な体質、競争原理を導入出来る体制になることを期待したい。

     私たちの場合も同様で、歴代の理事会が問題を感じつつも、なかなか変更に踏み切れませんでした。何人かの住民(理事経験者)に話を聞くと、「よくやった」と今期の理事会に拍手を送っています。理事会の強い意志が、約1,400万円あまりの経費節減を達成したのです!