実録「管理会社交替」 

 

交替劇を演出した小嶋理事(当時)の寄稿文を掲載します

寄稿して下さった小嶋理事の勇気と苦労に敬意を表します

管理会社は管理組合を訴えるという醜態も演じました
もちろん管理会社に、勝ち目はなく無事に終結しました
「管理組合新聞」の記事内容は、末尾に掲載してあります

◆◆ ご注意! ◆◆
内容はあくまでも私のマンションでの一例に過ぎません。したがって
文中で取り上げた会社の全体像を表現しているものではありません。
業界の中では、様々な考え方があり、まだ評価は定まっていません。
言うまでもなく、基本は「自己責任」ですから、最終決断はご自身で
なさるようお願いいたします。一参考資料として取り扱って下さい。

 時間的経緯 

 
 1998.10.18 競争見積もりを取ることを管理会社に通告
    11.10 A社と協議開始
    11.12 B社と協議開始
    11.30 管理会社に「留保」の通告
    12. 3 B社見積もりを提出
    12. 5 A社見積もりを提出
    12.14 緊急・秘密理事会
    12.15 管理会社に見積もり依頼
    12.16 C社とD社に見積もり依頼
    12.19 管理会社見積もり提出
    12.25 C社見積もり提出
 1999.  1. 5 D社見積もり提出
     1. 6 緊急・秘密理事会
     2. 7 臨時総会
     2.27 管理会社交替

 交替劇の詳細 

◆きっかけ◆
 小嶋は理事として3期目であった。2期目に総務部長として、懸案であった理事会人事の問題等を解決して、3期目は前理事長が退任前に言っていた「管理の問題」という言葉が何となく引っかかり、管理部長を引き受けることとした。
 当初は前期から引き継いだペット問題だとか、駐車場の管理の問題から駐車場の入り口にゲートを設ける問題とか種々山積しており、まさか管理会社交替劇に自ら参画するとは夢にも思っていなかった。

 9月の理事会だったと思うが、副理事長からエレベーターの維持補修費用等が、非常に安くなった例がNHKのテレビ放送であったとし、管理費の見直しの必要性が指摘された。また70歳を越え高齢となった管理人が翌年(1999)の期末に退職することが明らかになった。
 これらのことより翌10月の理事会で、新管理人に対する希望と管理費の見直し即ち競争見積もりを取ることを管理会社に書面で通告した。

 新管理人については、管理会社の常務のK氏と話し合って、要諦を守りプロフィールに合致する50歳代の人物を望むことを述べ、K氏からは必ずそのような人物を当てる旨の確約があった。理事会側が管理会社に反発したのは、上記の会談以前にすでに管理会社側が新管理人を発令しており、組合として要望した人物像とは全くかけ離れた現管理人のサブとして全く評判の悪い男を、厚かましくもご要望に叶う人物ですと押しつけてきたことに対してであった。この様に理事会側と管理会社の悶着の伏線は張られたのである。

◆競争見積もり◆
 さて競争見積もりの問題であるが、小嶋としては当初安い価格を入手して、それを対象あるいは材料として現管理会社のコストを下げさせるのが目的であった。とは言っても、小嶋としては他の管理会社と面識はなかったので、知人である()マンション管理情報研修センターの佐藤社長に「見積もりを取るだけなので、協力してくれる管理会社には悪いのだけれど、どこか紹介して欲しい」と依頼した。その結果、佐藤社長から紹介を受け19981110日からA社と、同112日からB社と協議に入った。
 A社の方は、実地検分のため10名以上の社員を投入しマンションの精図のコピーを取ったり大変しっかりした仕事ぶりである。他方、B社は正式なものではないが実地検分より早く、強烈な低価格を匂わせる発言の後実地検分を行った。

◆期限ぎりぎり◆
 いずれにしてもこの二社の熱意と努力を見て、見積もり作業が大変なことが良く理解でき、簡単に競争価格だけを入手するという甘い考えは、真剣にこちらの依頼に答えて働いてくださる方々に対してきわめて失礼であることに気付き、礼儀としても現管理会社との契約を留保すべきであるとの判断に達した。
 時まさに1130日の朝であった。ところが関係者にあたっても管理会社との契約書の所在が分からない(それもその筈で、原本は一通で管理会社が保有と言うことが後で分かった)。N総務部長にお願いして現管理会社からコピーをファックスで取り寄せる事にし、届いたコピーを確認したところ、今日30日が留保申し入れの最終期限であった。急いで書面を作り理事長宅で印をもらい執行した。
 同文書を受け取った管理会社は慌てて小嶋の所に飛んできた。その後、管理会社は何度も小嶋を訪問し、またマンションでも面談することになるが、要はなだめすかしたり威したりという事であった。(この管理会社幹部は「マンション住民を”痴呆”として遇せよ」という考えであることを聞いた)

◆理事会内部での議論◆
 12月に入り2社の見積もりが出揃ったところで、1214日に緊急の秘密理事会が開かれた。予想通りB社の見積もりは衝撃的であった。見積もりならびに小嶋の作成した資料を見てA理事長は大きく心を動かされたようであったが、この段階ではまだ管理会社の交替は大勢でなく、特に反対派からは見積もりの提示が2社では少なすぎるというクレームが付いた。
 小嶋としてはこの頃管理会社の交替という事で腹を固めた。そうすると現管理会社からも見積もりを取ることが法的にも必須の要件になると判断し、直ちに15日に現管理会社に見積もりの提出を指示した。この時期までに法律家と協議し、留保ー総会決議ー現管理会社との契約解除の手順で法的には問題ないことを確認しておいた。その上で新たに、C社とD社に見積もりを依頼した。

◆ついに決意◆
 1999年に入り15日に最後となったD社より見積もりの提出があり、これを受けて16日に緊急の秘密理事会を開いた。このとき理事長は都合が悪く副理事長が会議を仕切った。また反対派の急先鋒のF氏は欠席で会議の終了間際に顔を出した。会議では管理部が作成した資料を元に、B社との契約を提案しその後副理事長が出席理事の一人一人に意見を聞く形で行われた。特に女性理事からは日頃の管理会社に対する不満から、管理会社を変えるべしとの意見が強く出た。その後N総務部長から管理会社を変えるべしとの決定的な意見が出て、大勢は決した。B社との新規に契約する方向を副理事長から各理事に今一度確認した。その直後にF氏が入室し現管理会社よりの発言をしたが、最早誰も聞いていなかった。この理事会は、秘密ではあったがもちろん定足数は満たしており、その全員一致での議決は規約上F理事も拘束することとなった。

◆そして臨時総会◆
 翌7日からは管理の内容をB社と摺り合わす作業にはいった。摺り合わせに先立って各理事から意見を聞き、理事会(組合)側要望として管理部でとりまとめB社側に提示したところ、直ちにB社から了解の回答があり、この結果正式にB社との契約を求める臨時総会を27日に催すことを決定した。
 総会までに現管理会社が票の取り込みに奔走しているという情報は入手していたが、理事会側としては住民の良識を信頼していた。小嶋としては後々のことがあるかも知れないので、規約の改定に必要な総戸数の3/4を越える350票は確保しておきたかった。

 総会当日、現管理会社に巻かれたと見られる発言が2件あったが、結果は3794で大勝し、目標である350票も越えることができた。
 その後一番気を使ったのは、管理委託契約書の作成だった。これまでの管理会社寄りだった契約内容を完全に組合が委託主であるとの観点に変更すると共に、正本は2通作成しそれぞれが持つという形に改めた。

◆後日談◆
 管理会社の交替の後、元管理会社から係争を仕掛けられたが、法的にも万全の手順を踏んでいたため無事に乗り切れた。
 課題は交替した後の実際の管理であったが、この点につき実際にB社の評判が極めて高いので、実際の処ホッとしている次第である。

 

 元管理会社からの係争に関する新聞記事 

 管理組合新聞に紹介された内容 平成11年(1999515

 先日"犬も歩けば棒に当たる"で、建設省で意外な話を耳にした。「最近は管理会社が住人に対し裁判を起こす時代になってきたのか、マンション住人を代表する管理組合新聞はどう思うか」と逆に取材された。本紙もその管理会社に興味を持っていたので早速取材に行った。総合ハウジングサービス株式会社の代表取締役中村安定社長と鈴木孝一常務に話を聞きました。

 管理会社が管理組合に一方的に管理業務を打ち切られても裁判で管理会社が勝ったためしは一度もない、と説明したが、どうやら裁判を取り止めそうにない様子であった。さらにマンション運営の様々な話をしたが、管理会社としての知識もなく、マンション住人の明日も考えていない、まるっきりの営利だけを目的とした管理会社であった。訴えを起こされているR管理組合は十三年間に及び年間で一千万以上の高い管理委託費を払い続けてきた。これも六年前ほどに修正した数字でそれ以前はさらに一千万ほど高かった。この様に標準より驚くほど高い料金をマンション住人から取っておきながら、さらに裁判を起こすなんて日本のマンションの歴史に新たな.一ページを作る画期的な出来事である。
 本紙は何時もいっていることだがデベロッパーの子会社が管理をする管理会社はマンション住人が選んだ管理会社ではない。区分所有法にも述べられているように管理組合が管理会社を選択する義務があるはずなのに、その事を管理組合に報告する事なく、管理業務を遂行した管理会社はどの様な裁判でも負ける。ルネ門前仲町の管理組合の役員である小嶋孝男理事は「この管理会社のお陰でマンションの大切であるお金を一億三千万以上もドブに捨てた形になった。できたらこのお金を返してもらいたいものである。さらにいい勉強をしたので二度とこの様な結果にならないように我々マンション住人もマンション知識を得ていくべきだと思っている」と話を加えた。本紙はこの様なマンション住人を食い物にする管理会社は許さない、最後まで見守ってこの裁判で大勝利に収めたいものである。全国の皆さんは朗報を楽しみにしていただきたい。

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