逆で行こう!過去ログ-25-

西武ライオンズを中心に日本プロ野球界のことについて
あえて違った視点から見て考えてみよう。
(基本的に他の掲示板に書いたモノの焼き直しです)

 

WBC優勝=日本プロ野球安泰なのか?(06.3.26記)

 WBC優勝本当に嬉しいですよ。特に一番嬉しいのが視聴率が爆発的に良かった点。腐れ読売戦中心の視聴率データで、「日本人のプロ野球離れ」とかバカな事言ってる連中に目にモノ見せてやった気分です。また国際試合でのサッカーの視聴率にも圧勝気分で本当に「こんなに幸せな事は無い」って感じです。

 ただ冷静になって考えるとこのWBC優勝、それほど喜んでいられないと言うのも正直な感想です。いや、現在の日本でのマスコミによるいわれのないプロ野球人気低下状況を覆すには充分かつ、大変に意味が有った優勝だとは思います。特に自分の意見など持たず、周りに流されるままなのが大好きな日本人にとって、マスコミが確実に好意的に野球の事を書くこのチャンスを逃してはいけません。では何に危機感を感じるのかとい言うと、今回の優勝、一度は諦めた準決勝進出が突然かないその後は勢いに乗って最後まで突っ走った。そう言うものだと思います。これは昨年のロッテ、一昨年の西武と非常に似たパターンです。シーズン優勝は逃したモノの、その後のプレーオフで勢いに乗りそのまま日本一まで登り詰める。言うなれば負けて元々の開き直りが、好結果をもたらしたと言えるでしょう。

 では何が問題かというと、この優勝はいわば駄目元状況でのノープレッシャーだったからこその結果なのです。これが次回大会では、日本国内では優勝当然と思われ、世界中からもディフェンディングチャンピオンと目され狙われるわけです。そんな状況で、今の日本のプロ野球がV2を達成できるとは到底思えません。今回の大会で王監督はしきりにスモールベースボールで日本らしい野球をする、日本プロ野球に戻れば4番の選手にも送りバントをやって貰うと散々言い続けていました。しかし準決勝に進出するまでの全日本は、全くこのスモールベースボールが出来ていませんでした。バントは出来ない、守備のミスは多いと。これで点を取るのもホームラン頼りと来れば、全く悪しきこの10年の日本プロ野球のバカ野球そのものです。

 プロ野球選手がオリンピックに出るようになってから、日本の国際試合での成績はあまり芳しく無くなってしまいました。これは国際試合が唯一の檜舞台だったアマチュア野球の選手に結束力で劣る等の理由も想像できますが、何より言えるのは90年代中盤以降、日本プロ野球が「バカ野球」になってしまった影響と言えるでしょう。僕自身は過去に何度も言っていますが、日本プロ野球、いや日本野球の最高到達点は森監督が指揮した時代の西武ライオンズです。チームフロント一丸となっての選手発掘、育成、高度な情報処理戦略、緻密で有りながら大胆な作戦、そしてその作戦を忠実にこなすことの出来る野球偏差値の高い選手達、あの当時のあの西武ライオンズがあのまま大リーグの一所属球団になっても、充分に優勝争いが出来るチームだったと思えます。

 その日本野球の最高到達点に立ったチームを、仰木、大沢両当時監督とマスコミは「西武の野球はバントだけで詰まらない」と叩き、さらに他5球団は、その後のダイエースパイ事件をも巧みに利用して、一気に日本の野球をただ投げて打ち返すだけの単純なバカ野球に貶めてしまいました。野茂渡米後にマスコミが湾曲して伝える大リーグの野球が「最高レベルの投手の投げる最高の球を最高レベルの打者が打ち返せるかどうかを楽しむとモノ」と言う解釈も追い風になり、日本プロ野球は一気に高度な情報戦略、巧みな技術など関係ない退化した野球を10年以上続けることとなってしまったわけです。

 中村ノリがアメリカで全く通用しなかった事、飛ぶボールの影響が大きく叫ばれたことによって、ようやく日本球界も「バカ野球化」に問題を感じ、今更ながらスモールベースボールなどと言いだしていますが、この失われた10年は実に大きな10年なわけです。日本野球が10年進歩しなかった間に、他国の野球のレベルはグンと上がり、今回の大会での準決勝進出危機のような状況を生みだしたのは明かです。日本人による日本人のための最適な強い野球を90年代前半で完成させておきながら、自分たちのチームの利益だけの為に貶めた、仰木氏、大沢氏、マスコミの責任は本当に大きいと思います。

 日本人の身体能力を考えれば、パワーに依存するバカ野球では太刀打ちできないのは明かです。日本人はもう一度、高度な戦略、高度な技術力を駆使する西武ライオンズの野球を思い出し、実践すべきなのです。それこそ次回のWBCで王座を防衛する唯一の方法なのです。そのためにはプロ野球公式戦での、情報伝達禁止、予告先発の廃止等々やらなければ行けない事は沢山あります。せっかくの日本プロ野球に対する追い風を無駄にしてはいけません。1/16でも世界一は世界一です。Jリーグでは決して見れない、世界一、世界最高のプレーを日本プロ野球では見せていくべきなのです。

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