逆で行こう!過去ログ-25-

西武ライオンズを中心に日本プロ野球界のことについて
あえて違った視点から見て考えてみよう。
(基本的に他の掲示板に書いたモノの焼き直しです)

 

結局伊東は何がしたかったのか?(07.10.22記)

 西武ライオンズが25年間守り続けていたAクラスを逃した責任を取り、伊東監督が辞任しました。黄金期を体感し、常勝西武ライオンズのノウハウが全て詰まっていると思われた伊東が、Aクラス陥落を招き西武を去るのですから、何とも因縁めいた事象と言えるでしょう。基本的に当HPは全肯定西武ライオンズですから、あまり西武ライオンズに関わる人々を否定的には取り上げないわけですが、レオ戦士芸名鑑を見ていただければ解るように、ある時期から伊東のスタンスに関しては好ましく思っていませんでした。

 昨今の若いファンがどう思っているかは解りませんが、黄金期を経験している西武ファンの殆どが望む野球は「堅実で投手力、守備力を中心とした負けない野球」また攻撃面では「ホームランでバカスカ点を取るより、個々の特性に有った打撃をし、繋がりを重視した相手投手の嫌がる打線」こんな感じでは無いでしょうか?これは広岡〜森監督時代の西武ライオンズそのもので、と言うより、西武ライオンズファンにも既に遺伝子として組み込まれているような野球のスタイルなわけです。

 ではここ数年の西武ライオンズは、ファンにまで遺伝子として組み込まれている、そんな野球が出来ていたでしょうか?今年のある日のスタメンです「1.福地2.片岡3.中島4.カブレラ5.和田6.GG7.中村8.細川9.石井」一見、俊足1番が出塁して、何でも出来る2番が進めて、3割を越えているクリーンナップが返して、さらにHRバッターが駄目を押す。そんな理想的な映像が妄想として頭に浮かびます。これだけを見ると充分に「遺伝子」は現在の西武ライオンズにも残っているような気がします。

 しかし実際は、初回「1番福地出塁→2番片岡ファールフライで送れず→仕方無いので福地盗塁→失敗→全くタイミングが合わず中島三振」2回「カブレラ四球→和田右打ちするもセカンド正面でゲッツー→GGフェンス直撃の2塁打でちぐはぐ→得点圏も中村2球目のインコース見逃しをストライクと言われた事に不満をもったまま空振り三振」3回特に策も無く「細川外野フライ→石井外野フライ→福地外野フライ」・・・今年何度こんな展開を見た事でしょう?

 大体このオーダー。一見西武ライオンズ遺伝子を重視したオーダーに見えますが、実は1.2番を除くと「これだけ並べとけば誰かホームラン打つんじゃねーのか?」オーダーなんですよね。3番以降全く細かい嫌らしい仕事を出来る選手が入っていない。と言うか、福地も広島育ち、片岡もまだ若手で、1〜9番まで相手チームが嫌がるような選手が一人も居ないわけですよ。で、本来そういう役割が出来そうなサトトモがこれまた駄目で、右打ち狙ってセカンドゴロ凡退を何度見た事か・・・

 投手起用に関してもそうです。先発中継ぎ抑えを確立し万全の継投で試合を拾っていく。これが西武ライオンズの野球でした。なのに全幅の信頼をおいて迎えた荒木投手コーチ共々、元々抜群の素材だった涌井と岸以外のローテーション投手を確定できず、さらにピンチで続投アドバイスをしてはその直後に打たれ、打たれた後にすぐ交代させると言う後手後手継投を何度も繰り返します。

 抑えは小野寺にあくまで拘るのかと思えば、唐突に失格の烙印を押し先発転向→中継ぎ降格とまるでビジョンが見えません。小野寺のかわりにグラマンを起用し成功しましたが、これにしても1年半近く先発で起用し続けてそれでも駄目だったので、中継ぎに回したら偶然ショートイニングでの適性を発見したわけで、荒木も伊東も本来はその適性に全く気づけなかったわけです。

 そもそもの伊東不信のきっかけは、楽天に野村監督が就任した際に芽生えました。野村監督が「予告先発と外部からの情報伝達禁止の廃止」を提案し、その際「現状では選手同士の力任せの勝負にならざるを得ない。チーム全体としての頭脳戦、情報戦を展開してこそ、よりハイレベルな野球をファンに提供出来る」と説明したのに対して、事も有ろうに伊東は「先発がわからないとアテ馬を使ったりして無駄だし、ミーティングも大変になる」と、とても西武野球の酸いも甘いも知り尽くした人間とは思えないバカ発言。

 おいらは「さすが野村!さぁ西武ライオンズもこの意見に同調すべき」と思っていただけに本当に脱力しました。西武ファンならご存じの通り、西武ライオンズこそ、チームとしての頭脳戦、情報戦に長け、他のパのチームとはワンランク上の野球をしていたわけです。それをダイエーのスパイ疑惑のどさくさにまぎれて、何故か低いレベルの方に合わせさせられて、現在の西武ライオンズの低迷が始まるわけです。

 さらに野村に対抗心を燃やした伊東が逆提案したのは「点差の開きすぎた場合のコールド試合」ですから全く持ってがっくりです。伊東が予告先発廃止に反対した時の表向きの理由は「ファンサービスでやっているモノを廃止には出来ない」でした。なのに、いくら点差が開いているからと言って試合を途中で終わりにしてしまうなんて、一体どこがファンの事を考えてるんでしょう?クソ試合に呆れたファンは途中で帰っても良いわけです。逆に敗戦濃厚な試合だからこそ未知数の若手を使い、それを楽しむファンも居るわけです。

 と、この一件以来急激に伊東に対しての「西武ファンとしての幻想(伊東は根本、広岡、森、東尾、伊原の名将に仕えてきた、最高の西武ライオンズ遺伝子を持った監督)」から冷めていきます。考えてみれば就任1年目で日本一になったのも、プレーオフが偶然はまったのと、前年までの、東尾、伊原遺産のおかげとも言えるでしょう。去年の終盤での失速V逸も監督の責任重大と言えるのではないでしょうか?

 と、いつものように長くなってしまいましたが、結局伊東が作りたかった西武ライオンズはどんなチームだったのでしょう?上記したような事実から、広岡〜伊原に続く、正当的西武ライオンズ野球じゃなかったのは明かです。あんまり細々とした事をせず、バカな一見さんの野球ファンでも解る「凄い速い球を投げる投手から、凄い逆転サヨナラ満塁ホームランを打って勝つ」=「平成水島新司野球」がやりたかったんじゃ無いかと思います。そしてそれがファンサービスだと思っていたっぽいです。

 つーか簡単に言えば「近鉄バッファローズ」になりたかったんじゃないのか?本気でそう思います。身内として仕えた、広岡、森、伊原、東尾と言う名将よりも、敵として対戦し苦労した近鉄、オリックスの仰木監督のような監督になりたかったんじゃないでしょうか?上であげたスタメンをもう一度見て下さい。ほらぷーんと近鉄臭が漂って来ませんか?いや、確かに解りやすいですし、上手く行ってる時はサイコーに楽しいでしょうね。今まで野球や西武ライオンズに興味が無かった人に見て貰うには最適かも知れません。でも西武ライオンズファンが見たい、西武ライオンズはそんな西武ライオンズじゃ無いと思うんですよ。

 それにしても、まさか一番西武ライオンズが解っていると思っていた人に、一番西武ライオンズとは違う野球をやられるとは思いませんでした。本当に辛い数年間が終わって今はホッとしていますよ。とほほ。

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