参考文献 大規模修繕の目的
リニューアル技術開発協会資料より
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修繕委員会が発行した広報誌"大修繕"に掲載したコラム"まめ知識"から三つ紹介します。
(1)
劣化はこんなに危険
落下事故の危険・・・鉄筋爆裂や欠損によるコンクリートの破片落下は、車を傷つけたり、人に怪我させたり、最悪死亡事故にもなりかねない。
転落事故の危険・・・体重を掛けた途端、手摺と一緒に転落なども起きかねません。
漏水事故の危険・・・床下配水管の老朽化による
漏電事故の危険
(2)
大規模修繕の目的
いったい何のために十年目の修繕が必要なのでしょうか。大規模修繕の目的は、一般的に以下の四項目と言われています。
1. 躯体(くたい)機能の回復
経年劣化した本来の機能を回復させる事が第一の目的(ひび割れ、欠損、剥離を修理し止水、強度を回復させる)
2. 美観の回復
ひび割れ褪色などで汚れた外観を蘇らす
3. 住環境の向上
防犯、安全、美観の面から改良改善する
4. 財産価値の維持向上
それぞれの工事の目的が達成されれば、財産価値の維持/向上になる。
修繕委員会も基本的には同じ考えですが、予算と建物の痛み具合によっては出来ることに限界があります。 あくまで第一の目的は、建物本体の機能を回復させることですので、予算と工事範囲の検討を進める中で、住環境の改善まで出来なくなる可能性もあります。 しかしアンケート等により住民の住環境の改善を望む声が大きければ、一時金の拠出や借入金等の方法も検討する可能性もあります。 コンサルタントによる建物現況調査と予算の検討結果を待って、検討したいと考えています。当然その結論は居住者の判断を問うことになります。(アンケート及び広報を行い、最終決定は来年度の総会で提案・決議する)
(3)
工事範囲
工事が必要な範囲は、調査診断と改修設計を検討する中で決まりますが、一般的には以下の項目が検討対象になります。
維持保全工事
1. 危険な箇所
居住者や通行者に危害を与えたり、与える恐れのある箇所
2. 耐用年数に影響する箇所
建物・設備の耐用年数に影響するような劣化がある箇所
3. 日常生活に支障
日常生活に支障のある漏水、騒音、振動等がある箇所
4. 財産価値の維持
財産としての価値を維持するために工事が必要な個所
グレードアップ工事
1. 建物・設備機能向上
建物・設備を最新の機能に改善して使い易くする
2. 防犯・安全性の向上
建物環境の生活様式の変化に伴い、危険が増している場合
3. 予防保全
現状良好な場合でも、事故を予測して予防する場合
4. 経費の節減
まだ寿命があるが、同時の施工により経費が節約できる場合
当然、グレードアップ工事より維持保全工事が最優先になります。当マンションの規模になると、大規模修繕工事は 3〜4 億円の費用がかかると言われております。従って現在の補修積立金の額からすると、一時金の拠出なしではグレードアップ工事には手が付けられない可能性もあります。
しかし詳細な検討と結論は、コンサルタントによる建物診断結果と、居住者の皆様へのアンケート結果が出てからになります。