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参考文献 他マンションの見学記
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1. 横浜市「港南台めじろ団地」は、1974年に戸田・清水両建設会社によって新築され住宅都市整備公団の供給になる五階建て四十八棟(1,390戸)の大集合住宅です。団地の組合は日常管理業務を日本総合住生活(株)に委託しています。
2. 築後十年の大規模修繕は、神奈川県下で実績豊富なAI(アイ)建築設計事務所に設計・監理を依頼し、当該団地を新築した上述の戸田・清水建設に工事(塗装が主)を委託して行われました。
3. 築後十九年目(1993年)に至り、建物の老朽化が進み、水漏れ、汚れ、浮き、ひび割れ、剥離、錆等が目立つため、1993年3月の臨時総会で1995年の20年補修工事に向けて補修専門委員会を発足させることを決議しました。
・同委員会は、以後二年余の準備期間中に四十回を越える委員会活動を持って、次のごとき事項を処理しました。
・診断・設計事務所と建物チェック、その見積書検討、
業務委託契約
・居住者アンケート内容検討、集計、結果から修繕方針検討
・広報活動検討
・屋上防水チェック立ち会い
・数量調査と工事予算検討
・診断報告を受け工事概要・予算を検討
・工事監理事務所と委託業務の範囲を検討、委員による
目視調査を経て監理業務委託契約
・工事スケジュール検討
・第二回居住者アンケート案検討、集計、報告
・高圧洗浄試験立ち会い、試し塗り点検
・業者選定方法検討、公募、入札要領・特記仕様打ち合わせ、
十四業者に説明会(二日間)、見積り合わせ、見積書の
チェック、業者ヒアリング、仕様書再検討、スケジュール・
実費精算等打ち合わせ、四業者と工事委託契約
・カラーコーディネーターと打ち合わせ、色彩基本方針・計画決定
・居住者工事説明会準備・開催
・仕様書最終チェックと変更願い
・着工日の延期 等
・現場工事は、以上の準備に基づいて、四十八棟及び付属棟を四地区に分け、四施工業者により8月から12月の五ヶ月間で次の作業を終える予定で始められました。
・資材搬入、仮設、階段室・鉄部ケレン、足場組立、超高圧洗浄、
下地補修、シーリング補修、塗装(外壁、鉄部、階段室)、防水
(バルコニー、庇、面台、笠木、階段室床、屋上不良部分)、
付帯工事、検査、手直し、足場撤去、仮設撤去、資材搬出
・施工業者;板倉塗装(株)、(株)カトウ塗装、(株)ソエジマ、
建装工業(株)(いずれも塗装、防水を主力とする業者)
・監理事務所;AI(アイ)建築設計事務所
4. 私たちが工事見学会に参加したのは、上記3.(2)の工事のちょうど中間時点でした。棟数が多いので、棟によって工事の進捗状況が異なり、補修完了棟、防水中、塗装中、下地補修中、高圧洗浄中、未着工の棟と各段階を見て廻ることが出来、また、高圧洗浄機、使用工具類、各種塗料と道具も展示されたので要所を写真に収めてきました。さすがに補修完了棟は美しく、また防水の完備したベランダや階段室を見たときは、私たちも早くこの快適さと安心感を得たいものだと実感しました。
5. 見学後の説明会では次の説明と質疑応答がありました。
・工事仕様面;
塗膜の張力テスト基準(5Kg)
超高圧洗浄の水圧(450〜500Kg/cm2)
クラック補修(0.2〜0.5mm:ポリマーセメント塗布
塗膜剥離部0.5mm以上:Uカットシーリング
残存塗膜部0.5mm以上:ダイレクトシール)
塗装(五回塗り)
・費用面;
診断、設計、監理料(21百万円)
十年補修工事費(約600百万円)
二十年補修工事費(約920百万円)
修繕積立金額(途中増額)
・修繕委員会は現職理事からの五名と専門部会委員七名からなり、
専門部会委員の任期は毎年更新で工事終了後解任となりその報酬は
45千円/年/人
・組合は工事関係広報誌にすべて黄色用紙を使い情報伝達には
特段の努力をして
いる由。
6. 私たち居住者が、1998年1月〜8月頃に予定している十年大規模修繕を前にして、工事のでき具合と金額以外で最も心配する点は、工事中にどんな危険、不便、迷惑、面倒を蒙るかと言うことでしょう。この見学会で得た資料から主なものを拾ってみますと次の通りです。
・工事期間が長いこと(見学時には8月〜12月の五ヶ月の予定
でしたが、その後聞いたところ翌年2月竣工となり、それ以後も
不具合手直しが出ている由)
・作業時間延長と休日の臨時作業及びバルコニー等での作業
・仮設物が多い
・現場事務所、作業員控え室、材料倉庫、資材置き場、便所、洗い場、
給水栓、電柱、廃材置き場、工事関係駐車場
・足場と塗料飛散防止ネット(植裁の伐採、枝払い、盗難と
危険防止策の必要洗濯物干しの制限)
・バルコニーの片づけ
(クーラー室外機、植木、アンテナ、人工芝等の撤去と
搬入=各戸の責任)
・網戸の片づけ(シーリング打ち替え及び塗装時)
・給湯機の昼間使用制限
・車両の通行制限と車の養生(ビニール囲い)
・シンナーの臭いと換気口への注意
・騒音と振動(足場仮設時と解体時及び下地補修時)
・ペンキ付着、物の落下のおそれ
7. 以上、見学会の様子と資料について報告しましたが、どうせやらねばならない大規模修繕ですから、みんなで完成後の快適さと安心を願って前向きに対策を準備し、監理専門家のアドバイスを遵守しつつも工事を居住者自身で監視する体制を作って、無事に効率的に乗り切りたいと住人の一員として念願する次第です。(ビデオテープも委員会にありますので是非ご覧ください)
工事は工程表に沿って順調に進んでいるように見受けられた。
管理組合理事長の喜多さんのお話によると、調査・診断専門設計事務所の調査結果に基づき「できるだけ安く」を主眼に、外壁塗装工事専門業者6社に見積もり提示させたところ、1億数千万円から2億円余までの幅で提示があった。3社にしぼりながら、業者説明会を経て見積額、工事実績、「きめ細かく情報が伝達され、きめ細かく応えてくれるところ」等を考慮して施工業者が決まったとのことです。総工費は1億5千万円余りで実施されているようです。
借入は70百万円を予定し、金利は3.3%の見込み。東京都から1%の利子補給も得られるとのことでした。
管理組合では、工事が始まると、トラブル・苦情処理に追われたようです。居住者への工事説明会出席が3分の1程度だったことも原因のようです。
私たちのこれからのことを考えると、居住者の建築関係の専門の方の修繕委員会への参画とご協力を仰ぎたいなあと痛感しました。
建装工業では、下地補修に力を入れたこと、安全管理のこと、アフターサービスの内容を、強調していました。本工事の目的を次のように明示しており、わが修繕委員会の今後の指針の参考になりました。
・住宅の耐久年数をのばし、美装し、居住環境の向上を図る。
・外壁からの雨洩れ等の不具合を解消する
・コンクリート等の欠落、欠損、落下防止を図る。
・鉄部の防錆処理を行い、耐久性の延長を図る。
なお関係資料は修繕委員会で保管しております。詳細は委員会に声をお掛けください。