実施体制

 実施責任はあくまでも管理組合の理事会にあります。しかし詳細な検討は理事会だけでは行えないので、専門委員会を設置するのが普通です。理事もボランティアなのであまり負担にならないように、委員には理事以外の方の多数参加と出来れば日中在宅の方の参加が望ましいと思います。私たちは当初、理事6名を含めた12名でスタートしました。理事以外の6名の方は、公募と理事が声をかけて参加してもらいました。

 修繕委員会の運営で重要なことは理事会との関係です。重要事項の決定や、総会の開催は理事会の責任ですから、委員会での討議内容・決定事項は逐一毎月の理事会に報告が望ましく、その意味で理事との兼任者がいることは大変都合がよいと思います。私たちの場合は、工事の実施を決めた臨時総会の前2〜3カ月は、修繕委員会にも理事長始め多くの理事に参加してもらいました。工事業者の決定、積立金の値上げについては一緒に討議、決定しました。

 広報については当初から気をつけました。修繕委員会の設置を知らせる広報誌の0号で行ったアンケートでも、検討の途中経過を知らせて欲しいとの意見もありました。また、設計コンサルタントを決めるに際し行った各社のヒアリングでも、大規模修繕で一番重要なのは居住者のコンセンサスであり、その為にきめ細かい広報活動は大切であるとの印象を受けました。
 他マンションの修繕見学からヒントを得て、途中からですが、色紙を使い、ロゴも統一して毎月発行するようにし、多くの広告ビラの中から一目で修繕に関する広報誌であることが分かるように工夫しました。色紙とロゴは工事が始まってから工事業者が発行する掲示、広報にもそのまま使っていただき統一性を貫きました。

資金計画、長期計画

 今回の工事費用は、一戸当たり約100万円弱でした。入居当初の修繕積立額は一戸当たり平均月額2300円程でした。4年目に当時の理事さんたちの努力で平均月額6600円に増額し、その後も駐車料金の一部を修繕口に繰り入れるなどして積立の増額を図りました。その結果、工事は各戸の一時負担金なしで実施できました。居住者のコンセンサスが得られ大きな混乱もなく実施できたのは、積立金で賄えたのが大きいと思います。先任理事さんの先見の明と努力に感謝しています。

 同様に次回(12年後)に備えて、積立金の増額を準備しなくてはなりません。次回は一戸当たり約150万円、中間の6年後の中規模修繕も加えると、約200万円と予測されています。臨時総会で工事計画の承認と共に、今後の修繕積立金の増額も承認を得ました。その時は以下の四資料を示して説明し、大きな反対意見もなく乗り切れました。

 
 
 
 

新築設計時の瑕疵について

 コンサルタントによる建物調査の段階でも、また実際に工事が始まってからも新築時の設計/施工上の問題点もいくつか発見されました。築後十年の建物としてはひび割れの程度がひどく、各戸ともほとんど同じ場所に発生してしていることより、設計か施工上の問題であることは明白と思われました。しかし、建て主に申し入れた結果は、「経年変化であり責任は無い」というものでした。
 そこで外壁の塗装を剥離してから下地の様子を詳細に調査し、全建物のデータをつけて、更に現場を見てもらって再度交渉を行いました。この交渉は、工事の終了まで続きました。最終的には瑕疵に相当すると私たちが主張した金額の一割程度の修繕協力金という名目で決着しました。住宅公団では、この様な場合はある一定の費用負担を得られるそうですが、民間マンションの場合もそのようなルールが必要と感じました。