04年下半期の新車チェック評

過去の新車チェックのポイントはあくまでも発売当時のポイントなので、今現在の国産車デザイン通信簿のポイントとは一致しません。

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1-貰っても乗らない。2-格好悪いです。3-普通。4-知り合いが乗ってたら嬉しい。5-今すぐ欲しい。

エクリプススパイダー(04.12.5記)

 入れる入れると言い続けてきて、ようやく国内導入となった3代目エクリプス。今回も北米市場からの逆輸入、そしてモデルはオープンのスパイダーのみの導入となった。

 まぁ誰がどう考えても売れる車ではない。左ハンドルのオープンカー、値段は300万円オーバー。最初っからこれが欲しいと思っていた人にしか売れない車だろう。だから三菱も全然お金を掛けてない。北米で売っているモノをそのまま、日本の法律に対応するように替えただけで売っているはずである。それは3色しか設定の無いボディーカラーや(と言っても先代は2色だったが)、内装のプラスチッキーな仕上げを見ても一目瞭然だし、スイッチ類の触感の頼りなさも300万円オーバーの車とはとても思えない。

 だけど、それで別に良いのである。このエクリプスの形はまぁ三菱らしいラインで、いわゆる三菱ガンダムデザインを愛する層にグッと来る形ではないだろうか?また有る意味フェラーリより稀少価値、道中遭遇率の低さは、この手の車を好むオーナーの心をくすぐるのに充分だろうし、何より気楽にだらーっとオープンで流せるってだけで楽しくない筈がないのだから。

 とにかく手駒の少ない三菱なのだから、まず有る程度車種を増やす事が先決である。別に本気でエクリプススパイダーを買おうと思っていなくても、こういうばか車が有れば物好きはお店に来るわけだ、買う買わないは別として、お店にお客がいればディラーの雰囲気も変わるだろう?別に売れなくても良いじゃないか、もう少し展示車を増やしてディーラーを盛り上げてあげて欲しい。展示終了後には中古車で流せば良いではないか?新車では高くて手が出なくても、中古なら確実にこういう車を欲しがる層って言うのも有るのだから。

 唯一の反省点は、こういう車を選ぶ時にもっとも楽しみなボディーカラーの選択肢が少ないって事だろう(赤、銀、黒)。船で積んでくるのだから仕方ないのかも知れないが、どうせ買う人は限られているのだから、納車に時間が掛かるのを承知して貰って好きなカラーを選べるようにしては駄目なのだろうか?

最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)4

スイフト(04.12.2記)

 国内では軽ベースの安売り車、海外ではラリーで活躍するホットハッチ。まるでイメージの違うスズキの小型車がスイフト(海外名イグニス)なわけです。

 そんなスイフトがモデルチェンジを受け、軽ベースでは無い完全な小型車として登場したわけですが、これがなんとも中途半端な車となってしまっています。まず、先代のスイフトまだ買えます(笑)。つまり先代ではないんです。安売り83万円のも、ホットハッチの「スポーツ」もまだ現行車です。つまり上記したスイフトの「イメージ」はそのまま旧型が引き受けているんです。では新型は何の為に、どんなイメージかと言うと、高品質小型車・・・またか。簡単に言うとBMWミニ、ランチャイプシロン。国産で言うとistやベリーサの枠です。

 高品質小型車と言う狙い自体は否定しません。だけど本家BMWミニのようにこのキーワードを消化し切れている国産車を見た事がありません。istはヴィッツベースの急ごしらえですから、内装フィニッシュを見ても、高品質のかけらも感じられません。ベリーサは結構頑張ったように見えますが、デミオの質感が元々そんなに低くない上に、デザインがまんまBMWミニで萎えます。そして今回、良く言うと軽量化ボデイ、悪く言うと軽くてペナペナなスズキ車が「高品質」をどれほど消化出来ているか大変興味深く試座しました。

 外観デザインはこれまたBMWミニの影響下から逃れられていません。スズキのこれからの顔(アルト/スイフト)が、シトロエンC2に似てしまっているのは時期的に考えても偶然でしょうが、全体のフォルムがBMWミニに似ている事については言い訳出来ないと思います。高品質小型車=BMWミニと言うのは誰でも思い浮かびますから、「高品質」な経験の無いスズキとしては「高品質」を今までのスズキユーザーに植え付けるのには最適なモチーフだったのでしょう。ただこころざし的には、この段階で全く「高品質」では有りませんがね。面に張りが有って従来のスズキ的ペナペナ感が払拭されているだけに、このミニコンプレックスは残念に思います。

 内装もスズキとしては非常に頑張っています。シンプルなラインで構成されていて、下手にゴチャゴチャデザインするより確かに高品質に見えます。ただ内装色が黒一色と言う辺りに「安物屋、コスト至上主義」としてのスズキの悲しさが出てしまっています。確かに黒一色と言うのが、一番アラが見えない配色なんですけど、今の時代最低ベージュ内装は準備すべきかと。別にダッシュボードは黒のままで良いわけですから。こう言う所をケチっていては「高品質」にはほど遠いでしょう?またアルトなど安物車にはあれほど沢山付いている小物入れが、それほど無いのも小型車としては理解に苦しみます。パタパタ色々開くと、ビビリ音の原因となるとでも思ったのでしょうか?

 とは言え、今までのスズキのイメージからすれば本当に良くできています。こころざし的に色々な所が低いのが残念ですが、まぁ所詮国産の「高品質小型車」はこんな程度がユーザーとメーカーの落とし所なのでしょう(BMWミニと同じ値段で売って良いと言われても、あのレベルのモノをスズキが作れるとも思えませんし)。ただいかんせん解らないのがこの車を「スイフト」として発売する意味です。旧型スイフトの「安売り」のイメージで来たユーザーには値段で失望させますし、新型スイフトを気に入って買ったユーザーには、周りからの「安売り車だろ?」と言う、旧型で作った負のイメージを継承させてしまいます。いずれラリーには新型ベースで参戦するらしいのだから、いっその事「イグニス」(海外での名前)で発売した方が良かったのではないでしょうか?

最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)3

マークX(04.11.16記)

 バブル期トヨタの懐を多いに潤したマーク2が遂に絶版車となり、その後継車としてマークXの誕生となった。と言うのもバブル期月産3万台を誇ったマーク2も現在は3000台行けば御の字。日産が繰り出したティアナと毎月激しいデッドヒートを繰り広げる、トヨタとしては許し難い体たらくだったのである。その現状を打破しようとトヨタはプランニューモデルとしてこのマークXを発表したわけだ。

 だがディーラーに自信満々に飾ってあったマークXは、どこをどう見てもマーク2でしかなかった。その車を嬉しそうに見守る人々も、どう見ても50代後半からの白髪の交じった紳士達(笑)が殆ど。その場だけには80年代後半のあの雰囲気がきらびやかに甦っていた。トヨタはしきりに「新たなセダン伝説の始まり」的な事を言っている。だがそれがまやかしなのは車を見れば一目瞭然である。そもそもマークXと名前が変わる事になったのは、この車のデザインが決定した後の事で、いくらトヨタがプランニューと言っても、実際この車はマーク2として開発が進められていた車なのである。

 そもそもマーク2と言う車は、本来コロナの上級車種としてスタートした車である。一般大衆が乗るコロナの、ちょっと上と言うポジションがユーザーの心理をくすぐったのである。その「上」に対する憧れであったマーク2が、いつの頃からか部長がクラウンなら課長はマーク2と、独特の日本的ヒエラルキーの象徴として「下」を意識させられる車となってきた。それでもバブル期はまだ日本人を誤魔化せていた。クラウンと同じような装備、同じようなサイズだから良いじゃないかと。 だが、先代からマーク2は車体をクラウンと共有するようになった。そう、名実共にクラウンより下の車。いやクラウンの安い奴。それがマーク2となってしまったのだ。多くの日本人はこれに気づいてしまった。かっての憧れの車マーク2から、人々はオデッセイやレガシィに乗り換えた。上記した50代後半の紳士達はトヨタにしてみれば「気づかなかった」数少ないエリートなのである。

 そしてトヨタは今回もその「気づかなかった」エリート達に向けてマークXを作り上げた。全盛期のマーク2の魅力は「中庸の魅力」とよく言われていた。今回も相も変わらず幅広で薄べったく見えるデザインを採用。だが、世の中が車高の高い車中心となっている為、実寸法ではそこそこの高さを確保。正直言えばこの辺りも中途半端に思う。どうせならこの時代にこそ思いっきり車高の低いセダンを作ってみたらどうなのだ?背の低いミニバンオデッセイのような。プランニューを名乗るのであるなら、新しいセダン像を築きたいのなら・・・だが、中庸が魅力の車にそんな革新は無理な話だ。

 横から後ろに回ってみると今度は結構絞り込まれたデザインになっている事に気づくだろう。前があれだけ薄くバーンと飛び出しているのに、後ろはきゅっと絞り込まれているのだ。何ともちぐはぐな印象である。どちらかと言うとサイドとリアのデザインの方が好感が持てる。この方向性でフロントもまとめていれば・・・と。だが所詮このサイドリア周りも、世の紳士達の大好きなBMWコンプレックス丸出しである。現行BMWは少しえぐすぎるので、それをトヨタ流に翻訳して「中庸」に仕上げた。これで「エリート」達も安心である。

 中に乗ってみるとこれまた、マーク2的雰囲気満載である。独特な暗く、良く言うとちょっと包まれるような、悪く言うと閉鎖的な空間が今回も「エリート」達の為に準備されている。天井イルミネーションは新機軸でちょっと心が揺れたが(笑)、光り物で騙くらかそうなんてのがまたマーク2らしいではないか。筆者は日産がティアナで新しい木目の使い方をしてきた時に、トヨタがすぐにこれをマネしたらクオリティで敵わないと心配だった。だがトヨタはあのティアナの内装には心を全く動かされなかったようだ。今回の木目の使い方、光り物(本来の意味での)の配置、共に旧来のマーク2の世界観を全く出ていない。他社が出した優れモノをすぐに後出しジャンケンで凌駕するのがトヨタのお家芸なのに、それを全くせずに「エリート」の好む世界観を忠実に守る事に腐心したようだ。

 もうトヨタはこの車を諦めたのだろう。今居る数少ない、いつまでも気づかないおバカな「エリート」と共に消滅する道を選んだのだろう。キャデラックやクラウンは変化する事を選んだし、選ぼうとしている。コロナやカリーナは消滅し、真っ当なセダンとして新たな顧客を掴んだ。だがバブルの申し子マーク2、マークXだけはユーザーの高年齢化と共に消滅するのだ。気づかないふりをしている「エリート」達よ、もはや部長達はクラウンを買っても機嫌を損ねたりはしない。長年頑張って働いて来た自分にご褒美をあげるのなら、こんな車ではなく、思い切ってクラウンを買う事を進めたい。少なくともクラウンにはトヨタの本気が詰まっている。トヨタ車は、ヴィッツ→カローラ→クラウンで上がりなのだ。間の車で騙されてはいけない・・・

最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)2

COLT PLUS(04.11.10記)

 三菱久々のニューカー、コルトプラスである。と言っても名前で解るようにコルトの派生車種に過ぎないが、あまりにも会社自体のイメージが悪くなっている今、少しでも売り上げ回復に貢献して貰いたいとワラにもすがる思いでの発表だろう。

 デザインは結構良い。綺麗な卵形をしており、特にリアドアとCピラーからバンパーラインの反復なんかは非常に旨い処理だと思う。元々のコルトより、こっちが本筋なのでは?と思うほどで、ただのコルトには無かった斬新さが少しあると思う。この辺の造形を見ると、三菱はデザイン力自体は有るのだと思う。ホンダなんかとは比べモノにならないほどで、純粋にデザイン力に関しては三菱の圧勝だと思う。だが、三菱の欠点はそのデザイン力が商品力に結びつかない点である。デザインが優れていても、コンセプトが良くなかったり、デザインの方向性を間違っていると車は売れない。三菱車を見ているとその辺りの苦悩が浮き出ていると思う。

 このコルトプラスにしても、いったいホンダがフィットで当てて、いや元を辿ればトヨタがヴィッツを出してから何年経っているのだ?と言う話で、その当時このクラスに三菱が放ったのはミラージュディンゴなのだから、全く見当はずれも甚だしい会社である。フィットが出る前にコルトが出ていれば(コンセプト的にはフィットの勝ちだが)、いや最悪フィットが出た直後ぐらいに今回のプラスも出ていれば・・・三菱のセンスの無さというか、商売勘の悪さにはがっかりせずにいられない。

 相変わらず内装の質感も値段の割には良い、形も洒落ている。だけどあまりにも出てくるのが遅すぎる。会社が厳しいのは解る。解るのだけど、そう言う時こそタイミング良く新車が出ないと何も変わらないのだ。とにかく今の三菱に必要なのは、ほったらかしになっている車のモデルチェンジ。それである。ディアマンテは廃止にするのかもしれないが、だったら最低ギャランとディオンクラスのミニバンのモデルチェンジを急ぐべきなのだ。いくら良いモノを作ってもタイミングがずれていては仕方ない。コルトプラスを見てそう思う。

最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)3

フーガ(04.11.7記)(04.11.10補記)

 長年日産の伝統的ブランドであったセドリック/グロリアを止めて、新型車として登場させたのがこのフーガである。最近の日産は伝統有る名前をドンドン廃止する方向で動いている。現在残っているモノは、プレジデント、スカイライン、フェアレディ、ブルーバードのみ(シーマ、マーチは歴史が短い)である。確かにパルサー、サニー、ローレルなどは行き詰まり感も有った上に、顧客の年齢層も上がりすぎていたのでモデルチェンジを機に名前を一新するというのもわからなくない。だが、この半年に日産から出る新型車はすべて新しい名前のクルマだ。ムラーノ、ティーノ、フーガ、ラティオ・・・果たして一般ユーザーがこれら全てを把握しきれるだろうか?名前を変えること自体には反対はしない。だが、新しい名前をしっかりとユーザーに覚えて貰うには、それぞれの車種にしっかりと宣伝広告の期間を設けられるぐらいのインターバルが必要なのではないだろうか?マツダの失敗を日産が繰り返さないように願う。

 で、肝心のフーガの出来はどうだろうか?パッと見の外観の印象は「大きなスカイライン」まぁ昨今の日産車テイストが盛り込まれているデザインで、新鮮味には欠けるが悪いデザインでは無いと思う。少なくとも同時期に出たレジェンドよりは、遙かに今風のまとまりのあるデザインだと思うし、クラウンの対抗車としての落ち着きや押し出しもうまく表現できているのではないだろうか?反面大問題なのは内装の質感である。こちらはレジェンドの圧勝という感じだろうか?いや、デザイン自体は日産もかなり良い。アナログ時計の配し方、メッキモールの使い方なんかもかなりセンスが有ると思う。少なくともカタログ写真やテレビCM等では粗が見えないと思う。だが、実際に乗り込んでみるとちょっとした失望感を味わうことになると思う。

 ティアナでも散々言われた話だが、木目調パネルの質感が低すぎるのだ。日産にしてみれば「テカテカギラギラの木目調パネルはもう古い」と考えているのだろう。筆者もそれには賛成だし、ティアナ以降の日産車の内装デザインには多いに期待している。だがこのつや消し木目調パネルの質感の低さをデザインがカバー出来ていない、これが痛いと思う。全くクラスが違うのだが、三菱のコルトもこの「つや消し木目調パネル」を採用している、だがこちらは木目調パネル周りの処理が上手いので、あまり安っぽさが目立たない。三菱は木目調パネルのエッジが必ずパッドや別のパーツで隠れるようにデザインしているし、デザインもムクの木の固まりに見えるような使い方だ。対してフーガのパネルは一部にメッキモールで隠しているモノの、そのエッジがむき出しになってペラペラに薄く感じる。文章で表現するのは難しいのだが、実車を見て、木目調パネルのエッジを触れて貰うと解ると思う。フーガの木目パネルには爪が引っ掛かり、その配置方法も両面テープで止めたような安っぽさを感じてしまうだろう。

 日本人はクルマを乗らないで買う不思議な民族である。世の中の評判、ディーラーで座っただけでクルマを判断する。ディーラー側も「乗ってみれば良さが解ります」とか良いながら10分程度の試乗しかさせてくれない。そんな不思議なクルマの売り方、買い方では、何よりディーラーで車に腰掛けた時の印象が大切なのである。そう言う時に重要視されるのが内装のデザインであり、内装の質感の高さなのだ。いくら足回りを奢ろうが、素晴らしいエンジンを乗せようが、そんなモノより木目パネルの出来であったり、インパネのチリの幅だったりが重要視されてしまうのだ。そんな車の選ばれ方はおおいに間違っていると思う。思うけど、現実問題そういう買われ方をしてしまうのだから、日産はもう少し内装の質感を上げるべきだろう?それで無かったら、質感の物足りなさをデザインでノックアウトするぐらいで無いといけないだろう?

 実は内装パネルは3種類有る。上記「つや消し木目調」「メタル調」それと新しい試みで「ピアノ調」と言うのがある。実はこれがなかなか良い質感なのだ。ピアノの黒い漆塗りを表現したモノなのだが、これと白い内装が実に良く合う。ひょっとしたら赤い内装とかも合うかも知れない。これこそ、コストをデザインがカバーしている好例なのだが、これがあまりディーラーに展示されていない。また組み合わせも本皮内装にしか設定されていなく、いまいち売る気を感じさせないのだ。

 最後に一つ。実用上気になった点としてトランクの開口部の狭さをあげておきたいと思う。Cピラーからトランクに掛けてなだらかなデザインを用いた弊害としてトランク上側の開口部が狭いと言うのは、良くあることである。ただフーガはそれに輪を掛けて、バンパーが開口部でえぐられていないのだ。この為大きな荷物を積む為には、まず真上に持ち上げてから落とすような入れ方をしないとトランクに入れる事が出来ない。ゴルフバックを積むのにも苦労しそうなのは購買層を考えると問題だと思う。

最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)3(ピアノ調だけ3(好))

アルト(04.11.5記)

 遂に今回からスズキの主力車種アルトがワゴンRベースとなりました。これで名実共にスズキの基幹車種はワゴンRとなるわけで、なんだか時代の流れを感じます(と言ってもアルト自体も元々はフロンテの派生安売り車種として誕生したのですから、歴史は繰り返すと言う事でしょうか?)。

 このページをご覧になっている方なら薄々気づいているでしょうが、筆者はスズキの軽自動車と言うモノをあまり肯定的に見ていません。確かにスズキの軽自動車は独創的発想のモノが多く、その会社の規模を考えれば奇跡的な自動車メーカーだとも思います。でもいざ乗ってみると、スズキ独特の安物感とか、ペナペナ感がどうにも馴染めないんです。小さなエンジンでクルマを動かすんですから、そりゃクルマは軽い方が良いに決まっています。スズキの主張も間違っていません。でも逆に軽自動車は小さなクルマなんですから、普通車以上に安心感が欲しいと思うのです。その安心感がどうしてもスズキのクルマからは感じられないわけです(実際の衝突安全性は別として)。

 そんなわけで、今回の新型アルトも見事に安っぽいです。中に乗り込んでみると、まずワゴンRベースだからか不必要に天井が高く感じます。頭の上に空虚な空間が広がってガバガバです。広々とした空間は贅沢かも知れませんが、空虚に感じる空間は貧乏=安っぽさに繋がります。残念ながらアルトの空間は後者だと言わざるを得ません。また質感自体も当然の如く安っぽく、クルマ全体が全部プラスチックで出来ているような錯覚に陥ります。なんだったら外板もひょっとしたら・・・とか思ってしまうほどです。筆者が見に行ったクルマは、水色と灰色が混ざったような独特な色で塗られていたのですが、この色だとそのプラスチック感がより増幅される感じがします。もはや自動車と言うより、冷蔵庫とか洗濯機、あるいは本棚みたいなたたずまいです・・・

 ただ、ここまで来てしまうと筆者の印象はぐるっと一周して好意的なってしまいました。なんかもうアルトはアルト。自動車とは別のモノに思えてきます。

 今までのアルトは安っぽい自動車。そう言う印象でした。だから営業車として走る姿が実に絵になっていました。逆に言うとそれが個人所有のクルマとしては恥ずかしさに繋がっていたわけです。でも今回のアルトは、白塗り鉄チンホイールが営業車になっている姿があまり想像できません。一気に白モノ家具まで行ってしまったデザインのせいで「安っぽい自動車」感が払拭され「自動車とは別のモノ」になってしまったわけです。そう言う意味ではスズキの目指すユーザー層に見事に合致していると思いますが、営業車として売れないで、果たして台数稼げるのか?と言う不安も無くは無いかなと・・・

最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)3

レジェンド(04.10.17記)

 ホンダの最高級車。アメリカアキュラブランドの為に有るような車。

 さてレジェンドは8年振りのモデルチェンジである。3代目まではFFでフロントミッドシップと言う無理な成り立ちだったわけだが、今回は4WDキャブフォワードと、ごくまっとうなFFベース車として成立した。アメリカではこのレジェンド、アキュラブランドでBMW辺りと真剣にやり合う重要な車種なわけで、今回のモデルチェンジでも明らかにアメリカ市場ベースのモデルチェンジと言う事が伺える。

 日本での高級車というと、まずクラウン、そしてセルシオと言うのが誰もが思い浮かべるモノだろう。これらの車は社用車として登録される数が圧倒的に多く(実質オーナーカーだとしても登録は会社名義だったりするし)、デザイン的にもコンサバティブなモノとならざるを得ない。当然ライバル車であるセドグロ、初代レジェンド(特に後期型)も当初は同じパイを競っていたわけだが、正直トヨタにかなうわけも無く、ある時期から明らかに社用車用途としてのデザインを諦めたきらいがある。今回のレジェンドは、この社用車=コンサバティブデザインから完全に脱却し、高級オーナーカーとして一本立ちさせようと言うのが表向きの狙いだろう。

 だが正直この車、先代と同様それほど台数が出る車ではないだろう。発売当初は8年間も待たされた代替え潜在的ホンダユーザーが居るだろうが、そのうち尻窄みになるのは目に見えている。なぜなら、日本国内でこの車を買う層と言うのが全く見えてこないからだ。今回のレジェンドの強烈な吊り目にウェッジシェイプと言うモノは、本来ギリギリマーク2クラスまで許されるデザインだと思う。高級車として見るには下品だし、サイズも小さく見え、金額相応の満足感が感じられないデザインではないだろうか?確かに顔のインパクトは強いが、正直ホンダのこの5角形グリル顔はマツダにイメージ付けで負けており、この車も遠くから走ってくるとマツダ車と区別が付かなかろう。先頃絶版車となった、最終型ミレーニアとデザイン的にも大被りしてる印象だ。いくら技術的に優れていても、車格的には上であっても、このデザインにほいほい5、600万円出す人が、そうそう日本にいるとは思えない。

 同じ5、600万円出すなら、常識的に考えてセルシオ、ちょっとやる気がある人でBMW、ベンツとなるのが普通だろう?BMWと同等と考えられているアメリカならともかく、日本でのホンダの今のイメージは、所詮ミニバンメーカーでしか無い。広い室内のホンダ車に慣れた人が、同クラス他車と比べても明らかに狭く感じるこのセダンに魅力を感じるだろうか?かと言って、他車からの乗り換えなんておよそ想像が付かない。トヨタから、ベンツBMWから、レジェンドに乗り換える意味が解らない。せいぜい有って、セドグロからの乗り換え組だろう?それにしたって少ないパイの奪い合いにしかならない。

 ホンダの欠点はデザイン力にあるのは明らかだ。コンセプトが優秀なモノのデザインはそこそこ見れるが、ことデザイン勝負になるとせいぜいアメリカ人を喜ばす程度の田舎デザインしか出来ない。このレジェンドのデザインも、一見派手だがまるで味わいというモノが無い。降りた後振り返って何度も見たくなるようなデザインを、ホンダが出来るようになるのはいつの日の事だろう・・・

最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)3

ティーダ(04.10.16記)

 「コンパクトを上質に」を合い言葉としたのがこのティーダである。クラス的にはパルサー並びにサニーのモデルチェンジにあたるはずで、既に消滅しているパルサーと並び、サニーもこの後セダン版が出ると同時に姿を消す事となる。上質なコンパクトと言う意味では、ブルーバードシルフィも同じようなコンセプトなので、今後の動向が気になるところかと。

 さて、キューブ、ティアナと、インテリアデザインで有る程度のお客を取り込むことに成功した日産は、当然その間のサイズの車もインテリアで売り出そうと、このティーダを生み出したわけだ。座って見た正直な感想は・・・もう一押し。って所だろうか?キューブ、ティアナで見られたチャレンジングな姿勢が、なりを潜めてしまって物足りなさを感じてしまう。質感も日産が言うほど高くない(低くもないが)。キューブ、ティアナももさして質感自体が高かったわけではないが、デザインと上手な配色でそれを補っていた。だがティーダではそれがあまり感じられない。質感に拘ったという肘掛けも、ただのビニールレザーにしか感じないし、オプション(アクシス)の木目調パネルの安っぽさにはガッカリだ。内装色もブラックとサンドベージュの2色、キューブのブラウンやティアナの紺ぐらいの提案は出来なかったのだろうか?

 エクステリアにもさして切れ味を感じない。日産デザインも守りに入ってきたか?と言う感じだ。前から見るとルノー、後ろから見るとプジョー。簡単に言ってしまえばそんなところだろうが、何より全高が高すぎる気がする。写真ではそれほど感じないが、実車はあまりにも安定感がない。なんで1535ミリも必要なのだろう?1490ぐらいで成立させていれば、もう少しバランスが良かったと思う。メーカーも少しミニバンに捕らわれ過ぎなのではないだろうか?正面から走ってくる姿が全然いかさないのは問題だ。

 ムラーノの項で書いた「日産が変わったと認識された後の車」それがこのティーダの筈なのである。筆者がいまいちだと感じたこのデザイン、この質感を一般ユーザーはどう受け止めるのだろう?ティアナとキューブには、思わず買わせてしまう何かが有った気がする。でもティーダからはそれが感じられない。取りあえずイカした内装色の特別仕様車希望。

最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)3

ムラーノ(04.9.23記)

 今年前半全く新車の出なかった日産(と言うか国産車全部)だが、下半期はこのムラーノを筆頭に続々と新車がデビューする予定らしい。とは言えこのムラーノ。実はいささか新車というのには時間が経ってしまっている。当初は北米市場専用モデルで、サイズ的にも日本導入は厳しいと思われた。それがゴーン氏の鶴の一声で日本国内デビューが決まり、北米販売開始から2年弱、この秋の発売開始に繋がったわけだ。一言で言えばハリアー対抗車。ベースは日本で言えばティアナ、北米で言えばマキシマのFFシャーシとなる。

 この秋以降に日産からデビューする新型車の形は、既にみな明らかになっている。セドグロ後継車、バルサー/サニー後継車、リバティ後継車などが準備されているのだが、そのデザインは全て、昨今の日産テイストを感じさせる形となっている。だが、筆者は正直これらのデザインにあまり魅力を感じない。尖ったもの、珍しいもの好きの筆者としては、今の日産のデザインは安定期に入ってしまい、少々面白味に欠けると感じるのだ。現行セドグロ、プリメーラ、スカイライン、そしてキューブ、ティアナ。この辺りの日産車のデザインは非常に斬新であった。だが、プレサージュ辺りから日産のデザインは守りに入ったように感じられる。好意的に解釈すれば熟成されてきたとも言えよう。

 冒頭にも書いたように、ムラーノの販売は既に北米では2年近く前から始まっている。そう、当然デザイン作業などもそれに合わせて2年弱ずつ早かったわけだ。つまり日産のデザインがまだ充分にチャレンジングだった時期の作品なのだ。これは高級SUVクーペと言うニッチなマーケットでは優位に働くのではないだろうか?ニッチマーケットに飛びつく人は、良く言えば先進的、悪く言えばへそ曲がりである。他人と同じようなモノはなるべく避けたい。そう言う人にとって、このムラーノは魅力的に写るのではないだろうか?ライバル車と目されるハリアーは、初代こそバカ売れしたものの、キープコンセプトの2代目はそれほど売れていない。そんな中このムラーノのアグレッシブなスタイリングは結構評判になるのではないだろうか?

 外観にはサイズを除けば二重丸をあげたい筆者だが、中に入ってみると少々苦言を呈したくなる。ハリアー対抗車としてはちょっと安っぽく感じてしまうのだ。そりゃそれなりの価格帯の車だからコストは充分に割かれている。アルミパネルだって「風」ではなくホンモノなのだ(角の折り返しを見れば解る)、だが残念ながらその風合いはあまりアルミである事を感じさせない。個体差なのかも知れないが、微妙にパネルごとに色合いが違うモノもある。プラスチック部品もかなり安っぽい仕上がりだ。特に華やかなベージュ系(ホワイト)内装でこの質感の低さが目立ってしまうのが痛い。ハリアーがどちらかと言うと閉鎖的な空間美を狙っているのに対して、ムラーノはカリフォルニア辺りの開放的な雰囲気を取り入れていると思う。当然ボディカラーも明るいもの、内装もベージュ系がメインな筈である。なのにそのイメージカラーの質感が低いのは頂けない。確かに北米ではこの程度の質感で通用したかも知れない。ベンツのMクラスですらそれほど質感は高くないらしい。だが、日本でハリアーと戦うのであるなら、内装レベルをもう一段階上げねば話にならないと思う。

 今の日産に必要なのは、日本国内で確実に台数を稼げる車である。日産が変わったと言う事は、一般ユーザーにも充分伝わりつつ有る。このムラーノはそう言うイメージを作るための最後の車と言えるだろう。台数はそこそこで、ハリアーの半分ぐらい売れれば御の字だろう。問題はこの「おっ」と思わせる車以降の量販車種で、一般ユーザーの心を掴むことなのだ。筆者はつまらないと感じるが、今後出てくる日産の量販車達は良いポイントを突いているのかもしれない。その水先案内人としてのムラーノはなかなか良いデザインだと筆者は思う。

最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)4

ムーヴラテ(04.9.9記)

 またまた出ましたダイハツのハイト軽(その陰でネイキッドはひっそり消滅)。今回は女性向け仕様という事で、思いっきり丸っこいデザインが売りとか・・・

 ダイハツの考える「女性の好みそうな車」って所詮こんな程度の感覚なんですね。丸きゃ女は買うだろう。キティちゃんが付いてりゃ買うだろうと言うレベルから殆ど進歩していません。今時の聡明な女性達がこんな安直な企画、デザインにほいほい乗るとはとても思えないんですよね。いかにも男がイメージした安易な女性像。そんな嫌ーな雰囲気が車からぷんぷんしてきませんか?。ダイハツのリリースした資料には「企画段階から女性が積極的に参加」とあります。確かに車内の使い勝手などには、女性なりのセンスが生かされている部分もあります。でも根本的なデザイン面で、果たして女性のセンスが本当に生かされたのでしょうか?

 昔から男が押しつける「女性仕様車」は売れ行きが芳しくありません。それは男がイメージする「女性の好きそうなモノ」のイメージが実際に女性の好むものとかけ離れているからです。と言うか、男がイメージする「女性の好きそうなモノ」は、実は男がそうであって欲しい女性像にしかすぎないからで、女性の事なんか全く考えていないわけです。只の理想像の押しつけ。「丸ければ良い」って80年代じゃないんですから・・・。現在の女性達は、どうすれば自分たちが輝けるかよく解っています。だから積極的に輸入小型車も選びますし、色にしたって消去法で銀黒しか選ばない男と反対に、鮮やかな色合いを積極的に選びます。バカな男共がミニバンでヘラヘラしている中、人気薄の国産2ドアクーペを颯爽と乗り回している女性を何人も見ました。そんな現代の女性達が、こんな丸々したハイトワゴンに乗っている自分がおしゃれに見えると思うはずがありません。

 内装も、ダイハツなりに頑張ってベージュ系2種類のカラーとしたのだけれど、いずれもベースのプラスチック部分は昔ながらの安っぽいグレー。コストとの戦いが見て取れます。全体の質感は、ムーヴよりは遙かに上だけど、タントには負けている感じ。このラテ、スズキのラパン辺りがたぶん競合車になるんだろうけど、車本来の出来云々は別にして(車の出来自体はダイハツ圧勝でしょう)センスだけでは完敗。外装、内装共にラパンは「ちょっと良いかも」と思わせるけど、ラテは「ちょっと恥ずかしいかも」と思わせてしまいます。ただ車と言う商品は、本来目指していたターゲットとは違う所で当たると言う事がまま有ります。このラテも田舎の30代後半の夢見がちだが生活に追われている主婦とか、これまた田舎のキティちゃん大好きだったヤンキーねーちゃんとかには、ジャストフィットする可能性も無いとは言えません。ただどう考えても、これを胸を張って「女性のための車」と言い張るダイハツのセンスを受け入れることはできません。

最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)2

ボルテ(04.8.24記)

 たぶんこれが初代ヴィッツベースの最後の車となるモデルである。ヴィッツ、ファンカーゴ、プラッツ、Willvi、bB、ist、WiLLCYPHA、ラウム、シエンタ、ブーン、パッソそしてポルテ。全部で12車種。よくぞここまで作り、ここまで売ったものである。

 ブーンの項でも触れたが、さすがにここまで同一プラットホームで作り続けると、デザインのやりようがなくなるようで、正直後半のモデルのデザインは何とも気合いの入っていないモノが多かったように思える。だが、この最後の1台、ポルテは実に良いまとまりを見せていると感じるのだ。今までのヴィッツファミリーどのモデルとも違う新たなデザイン。それは当然大型開口3ドアと言う独自性の高いコンセプトの影響もあるが、デザインモチーフを古いVW辺りから頂いてきたフロントデザインの印象が大なのだと思う。さらにぐるりと回って後ろから見ると、これまた何となく現行VW車の雰囲気が(Porteのロゴの影響か?)醸し出されている。そう思って見ていくと、カタログまで何となくVWな雰囲気が漂って感じられるので、これはもう確信犯だと思える(笑)。

 近々記す予定だが、ダイハツからムーブラテと言う新型軽自動車が同時期に発売された。これはもう恥ずかしいぐらいに○丸々マルなデザインなのだが、ダイハツはこれで女性ユーザーのハートをがっちりと掴みたいらしいのだ。まったくダイハツは駄目である。男が安直に考えた「女性仕様」を現代の女性がそれほど好まないのは明かである。誰があんな媚び媚びなデザインの車に乗りたがるだろうか?対してこのポルテの程良い丸さの中に感じられるシャープなライン。こういうデザインこそ、女性をいちころ(死語)にするのだと断言したい。ラテに乗っているのはちょっと物事を深く考えない田舎のファンシー好きヤンキー(失礼)に見えるが、ポルテに乗っている女性からはインテリジェンスすら感じられる。それほどにこのポルテのデザインは良く出来ていると思う。

 デザインが綺麗なまとまりを見せている上に素晴らしいのが、この「助手席大型開口スライドドア」と言うアイデアだ。一体4ドアより2ドアの方が便利で使いやすいなんて、誰が思っただろうか?これが何とも驚きの使いやすさなのである。しかも電動開閉ドアがなんとも楽しい。130万円そこそこの最下級グレードから標準設定となるこの電動スライドドアは、誰か人を乗せる度に話題となり、乗る人をにこやかな気分とさせるだろう。こういうアイデアを実現して商品として出してくる辺り、本当に今のトヨタの会社としての余裕を感じずにいられない。ほぼ同時期にホンダが新提案(嘘)したエディックスの陳腐さに比べ、アイデアの斬新性、商品としてのまとまり、全てに置いて会社の体力の差を感じさせられる。所詮ホンダの実力はあんな程度なのである。やはりトヨタに対抗できるだけのモノを持っているのは日産と言わざるを得ない。日産は北米市場優先政策を取っているので、なかなか日本国内にあったモデルをリリース出来ていないが、もはやホンダが落ちていくのは目に見えている。早く日本向けの素晴らしいモデルを日産に連発して貰いたい。

 話が少々脱線したので戻す。ポルテの内装質感はヴィッツファミリーとしては上出来な方である。最新型の軽自動車と同じか、少し劣る程度と言えば良いだろうか?配色には黒/グレー系が用いられないのも好ましい。コンパクトカー乱立の今の日本市場、トヨタはまた素晴らしい一手を繰り出してきた。そろそろ新型ヴィッツの噂も出始めてきた。新型のヴィッツの内装質感が上がれば、もはや他社は太刀打ちできないのではないか?そんな気すらするトヨタの盤石振りをこのポルテから感じてしまう。

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ベリーサ(04.7.23記)

 デミオベースの高品質車。ファミリア後継車であったアクセラが、サイズアップのせいで少々上級に移行してしまったので、デミオとアクセラの間を埋めるという意味合いも有るらしい。

 さて、マツダはこのベリーザをとにかく高品質車ですと言い張る。高級車では無い所がミソだとも思うが、取りあえず室内の雰囲気などはマツダにしては非常に頑張っている。価格帯と部品メーカーの力を考えれば、かなり良くできた「高品質」な内装だと思う。ヴィッツベースのイストをヴィッツより「高品質」ですと言うトヨタ程度のレベルでは無く、マツダは本当にお金をかけてこの内装を作ったわけだ。だが、それが果たして成功しているかと言うと個人的には微妙だと思う。前記したがヴィッツの内装に対して、イストがこれぐらいの内装になっていれば確かに驚くし高品質感もよく伝わると思う。だが、筆者はデミオの内装はそれほど質感が低いとは思わない。むしろフィット、コルトらと並んで、このクラスでは高い質感を保っているとすら思う。そのデミオに対して、このベリーザがマツダが思うほどに「お金をかけた」とユーザーに伝わるかというと少々疑問だと思う。確かにキーをひねるとメーター照明が点る辺りなどはユーザーの満足感に繋がるとは思うが、所詮デミオの高い奴と言うイメージは拭えないのではないだろうか?

 外観デザインでもそうだ。確かにデミオとは全く違うデザインテイストで、マツダ5角形グリルも目立たない。だがサイズはやっぱりデミオでデミオの骨格は隠せないし、この背の高さに現行ミニのようなデザインがはまっているかと言われると素直には肯けない。デミオのような実用車では無いわけだから、もう少し全高を削るなどして軽快感、パーソナル感を演出できなかったのだろうか?(そうしたらまんまミニになってしまうわけだが)

 またエンジンサイズにも苦言を呈したい。なぜ1.5L1本なのか?高品質を唄うので有れば、思い切って2.0Lぐらい積んでも良かったののではないか?現に上級のアクセラは1.5〜2.3までのエンジンを搭載している。この辺りも「高品質」「高品質」と言いながらも所詮ニッチカーだと言う認識がメーカーにもあるのではないだろうか?狙い所は確かに良いのである。小さめな高品質車を人々は望み始めているかも知れない。少なくともそこはトヨタがまだ耕していない畑なのだ。だからこそ、もう少しデザインや車格感、排気量でチャレンジして欲しかった。世界に目を向ければランチャイプシロンと言うお手本も有る。マツダが参考にすべきなのは、ミニでは無くイプシロンの方だったのではないだろうか?コンセプトを考えるとそう思える。

最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)3

エディックス(04.7.20記)

 シビックベースの3×2人乗りミニバン。

 正直これは駄目でしょう?日産がティーノで大失敗しているのに、どうして同じコンセプトで再チャレンジするのか発表時から全く理解が出来なかった。真ん中のシートがずらせると言うのが、唯一の言い訳な訳だが、例えずらせても全幅1800ミリを超えないサイズで前席3人乗りはどう考えても不可能なはずである。

 実車に乗ってみてどうか?いや、確かにずらせば3人乗れないことは無いです。でも全くくつろげない(笑)。運転手が運転に支障をきたさない位置まで、真ん中のシートを下げると(つまり目一杯下げるって事だけど)、今度は後席の真ん中をいくらずらしても人が座れないのだ。これなら只のベンチシートでカップルでいちゃついている方がよっぽど幸せである。前席に3人楽しく乗れるギリギリなラインが、小学校低学年の子どもまでだろう。つまり家族3人で仲むつまじく前席に乗ると言うのが、唯一の幸せな乗り方である。でもそうなると後席3人分は何の為?ともなる訳で、前席だけで良ければ、タルボマトラムレーナの方が絶対に楽しいと思う(笑)。

 取りあえず前席家族3人がけムードを押しつける為に、前席にチャイルドシートが付けられる。これはまぁ、親子二人で出かける場合には確かに便利。でもだったら二人がけで助手席にチャイルドシート付けられる設定でも良いわけで・・・結局どう考えても前席3人がけはアイデア倒れでしかないと思う(あ、真ん中に座って両サイドおねーちゃんは幸せかも)。フィアットムルティプラやアメ車の例を上げるまでも無いが、やはり3人がけするには1900ミリぐらいは必要だと言う事。

 3人がけに無理があると言う事は、デザインぐらいしか車に存在理由が無い訳だけど、この観点からも要らない車。正面から見ればマツダかスイフトか?横のイメージはちょっと最近のBMW的抑揚。後ろのハッチの切り方は何とも迷いが出ていて中途半端。ドンガラが現行シビック5ドアで3×2人乗りなら、ちょっと心揺れたかも知れないが、こんなスイフトのでっかいの誰も欲しがらないでしょ?

 いや、それにしても良くこんな車ゴーサイン出たよ・・・さすがホンダは余裕があっていらっしゃる(笑)。アイデアだけで押し切るのは、ホンダらしいって言えばホンダらしいけど。

最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)2

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