過去の新車チェックのポイントはあくまでも発売当時のポイントなので、今現在の国産車デザイン通信簿のポイントとは一致しません。
1-貰っても乗らない。2-格好悪いです。3-普通。4-知り合いが乗ってたら嬉しい。5-今すぐ欲しい。
インスパイア(03.6.28記) | |
初代モデルの大ヒット以来、紆余曲折を経て作り続けられているホンダのアッパーミドルセダン。それがこのインスパイアである。特徴的な直5FFミッドシップをやめ、先代は完全にアメリカホンダからの輸入モデルとなっていたが、今回からまた日本国内専用モデルとなって、生産も日本で行われることとなった。 日本国内専用モデルとは言ったモノの、その基本はアメリカ版アコードである。先代はアメリカホンダの高級ブランド、アキュラ専用モデルを輸入していたのであるから、一応高級車としての面目は保てていた。だが新型はアメリカの大衆車アコードベースな訳で、当然ながらそのままでは高級感の演出に不満が出るだろう事は想像できる。そんな訳で、ドンガラはアメリカ版アコードを使うモノの、フロントデザインや内装、最新電子機器などは日本独自のモノを導入することによって明確な差別化を図ったというのがホンダの言い分である。レジェンドが長年放って置かれている現状では、このインスパイアがホンダの最高級セダンの役割も担っているわけだ。そう言うわけで有りとあらゆる先進電子機器(笑)が導入されている。それはもう未来の車と言っても充分に差し支えないモノで、あのホンダですら「全自動運転」を視野に入れてきたのか・・・と言う驚きがある。 まぁそんなモノの詳しい説明は世の解説本を見て貰うとして、このサイトの本題である、デザインについてだ。発表時の写真などから筆者は勝手にプジョー607のような伸びやかなデザインを想像していた。事実、歴代のインスパイアは、総じて伸びやかなデザインだったわけであるし。だが実車の印象は意外なほどずんぐりむっくりしたモノであった。これだけ大きな車なのにも関わらず、デザインのテイストはどうちらかと言うと、フィットアリアやランサーセディア(笑)のようなのである。そう見える原因はキャラクターラインの引き方に問題が有るからだと思う。特にバンパーからテールランプにまで走るラインが低すぎるため、なんとも上半身のボリュームが勝ちすぎてしまっているのだ。さらにボンネットの開口部から繋がるラインがこの雰囲気を助長する。どう見てもこれはビッグキャビンを強調した大衆車のデザインなのである(いや元はアメリカ版アコードなのだからそれで良いんだけど)。その上にこの日本的バカグリルがついているのだから、本当にまとまりのないデザインだと思う。 元デザインのアメリカ版アコードはシンプルなデザインである。その車に無理矢理、高級感演出の為にバカグリルをつけ、ボンネット上に余計なキャラクターラインを走らせた。さらに内装を見ると、日本ホンダはいつも通りこの車をスポーティーにも見せたいのだろう。全く持って無理無理なのである。クリーンなのか高級なのかスポーティなのか???存在自体が破綻しているのだ。今更内装についてクドクドは書かないが、いつもの通り真っ黒内装に安っぽいアルミ風パネルが一周している。当然同じ所を明らかに木目調と解るギラギラしたパネルが一周しているバージョンもある。外側は大衆車風で緩んでるのに、内装がこんなに薄暗く狭苦しいのもちぐはぐである。RX-8、レガシィに続き、またもやティアナの被害車がここにも。と言う感じである。 最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)2 | |
RX-8(03.6.12記) | |
先行予約分をこなすので精一杯だったRX-8もようやく展示車が各ディーラーに行き渡るようになってきた。その為遅ればせながらの試座通信簿である。 まず全体の印象。昨今のマツダデザインの中で一番完成度が高く、一番格好良いデザインであると言えよう。販売されたのは遅かったとは言え、デザイン自体は随分前に完成していたわけだから、有る意味このRX-8から現在のマツダデザインが始まっているとも言えよう。完全に自分のモノにしたマツダ五角形グリル(もうホンダは諦めるべきだと思う。グリルレスの時代が一番ホンダらしかった)からフェンダーを別モノとしてスパッと切れ上がっていくフロントデザインは実に格好良い。話題となった観音開きドアも、実用上の使いにくさは別として、スペシャルな車としての雰囲気作りに一味買っていて好感が持てる。唯一の難点はおもっちゃっぽいテールランプのデザインだが、こんなモノはマイチェンでどうにでもなるわけだから、気に入らない人は2年待てば良いだけの話ではある。 ただ、残念なのは内装デザインである。レガシィの項でも書いたが、ティアナが出てしまった現在。いくらスポーティーカーとは言え、このアルミ風パネルを多用したデザインは古臭く感じる。それでも質感が高ければトヨタのように誤魔化しも利くが、いかんせんマツダクオリティなので、なんともチープに感じてしまう。特にフロントからリアまでセンターを走るアルミ風パネルは、デザインのキモだけにその影響をもろに受けてしまっている。室内空間は言われている通り、閉鎖的だが充分に4シーターの資格有りである。ただやはり、リア住人はとっさの事態に自分ではどうする事も出来ないわけで、乗降の際に前席シートベルトが邪魔になるのと合わせて、再考を促すポイントであることも確かだ。 世界で唯一のロータリーカーで、これだけスペシャルな雰囲気の漂っている4シーターがこの価格。マツダは充分に頑張ったし売れているのも理解できる。後は、内装デザインなどをマイチェンでじっくりと対応し、長く売り続けて欲しい車だと思う。 最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)4 。 | |
レガシィ(03.5.29記)(03.9.24補記)-試乗済み- | |
インプレッサを大きく外してしまったスバルにとって、レガシィは絶対に外せない大事なモデルである。とは言うモノの初代からキープコンセプトキープコンセプトで来ているので、ユーザーにも若干飽きられつつある訳で、その辺り、歴代で一番難しいモデルチェンジだったと言えるのではないだろうか? まず大きく変わった点。5ナンバーサイズに留まり続ける事をセールスポイントにしていたのを、今回遂に3ナンバーサイズに拡大することにした。だがアコードが3ナンバー→5ナンバー→3ナンバーと見苦しいモデルチェンジを繰り返したように、このクラスの車の売れ行きに、もはや5ナンバー/3ナンバーと言う事は関係ないのである。3ナンバーでも良い車は売れるし、5ナンバーでも駄目な車は駄目なのである。大体ドアミラーというモノが有るわけだから、実際の使い勝手はドアミラー〜ドアミラーの幅で計るのが正しいわけで、そう言う意味では主に側突安全性でドアを厚くすることに使われた3ナンバー程度では、実際の運転にそれほど支障は出ないモノである(そう言う意味では新車情報でいつまでもこのサイズの車の事で「5ナンバーで無くちゃ」と言い続ける三本氏にはうんざりである。=高級と言うとすぐ革仕様を提案するのにも・・・)。と言うわけで若干増えた幅で、スバルは一気にデザインをノビノビとさせてきた。旧型はセダンはともかく、ワゴンに関しては、バンとも言えそうな四角四面なデザインでいささかいかさなかった。それが僅か幅が3センチ(片側1.5センチ)広がっただけで、こうも伸びやかに見えるのだからデザインというモノは不思議である。 だが、この伸びやかなデザインが正解かというと、ちょっと微妙ではないだろうか?たぶん色々な所で書かれていると思うが、先代レガシィのデザインというモノはある種、アカ抜けない、洗練されていないデザインが特徴でもあったと思う。それが逆にモデル末期まで魅力を失わせない不思議な力となっていたわけだ。だが今回のレガシィ。誰が見ても「格好良い」と思うだろう。でもそれは「今」格好良いわけだ。レガシィはモデルチェンジが若干長い、果たしてそのモデルライフ期間中ずっーと魅力を保ち続ける事が出来るだろうか?いや確かにレガシィの魅力はデザインに有るわけではない。他者の車には無い「じっくりと作り込まれた感」をユーザーが信用して買うわけだ。だから先代のようにいかさないデザイン(ワゴン)でも売れ続けたわけだ。デザインは二の次だったのだ。だが、今度のレガシィはデザインも頑張ってしまった。これはちょっと危険だと思う。モデル末期に他社で魅力的なデザインの車が出てきたら、そっちに浮気されてしまう可能性が出てくるわけだから。それまでデザインの事はたいして頭になかったレガシィユーザーに「デザイン」と言うキーワードを気づかせてしまったのは、両刃の剣となりはしないだろうか? またこの解りやすい「格好良さ」はレガシィの個性を無くしたとも言えよう。新型はマークIIのようでもあり、ウィングロードのようでもある。はたまたBMWっぽくも見えよう。先代までは道を走っていたら確実にレガシィだと認識できた。だが新型にはそれほどレガシィ臭さが感じられないのだ。むしろワゴンのリアハッチなんかを見ると、積極的にレガシィっぽさを消したようにも感じられる。実車を見て貰えば解ると思うが、旧型では横一面に走っていたリアガーニッシュの部分が、新型ではボディ同色パネルに替えられている。なぜこんな手法を取っているのだろう?同色にするなら最初からプレスで抜いてしまえば良い訳で、これは販売する寸前にボディ同色に変更したのではないだろうか。いずれにしても新型レガシィは格好良い。ただその格好良さがレガシィにとってプラスになるかマイナスになるかは微妙なところだと思う。 続いて内装はどうかと言うと、こちらは相当厳しいと思う。旧型比で考えれば確実にレベルアップしているし頑張ったと言えよう。でももう、こういうテイストでは駄目だろう?ティアナが出てしまった現在、こういう黒内装アルミパネル風のデザインは一気に古くなってしまった。オプションのギラギラした木目パネルなんかさらに古い。これはタイミングの問題だからしょうがないが、早急にマイチェン対策をしないと、内装で奥さんの反対にあう悲しい旦那さんが劇的に増えると思う。B4は有る意味スポーツイメージで先代を売り切ってきた。だからこそキープコンセプトなのだろうが、アコードの大失敗を見ても解るように、このクラスのセダン復権のキーワードは、必ずしも「スポーツ」では無かったのだ。そう言う意味では、このスポーティイメージの内装は頂けない。今更大きく替える事は不可能だろうが、最低限ベージュ内装、艶消しウッドかホワイトウッドのパネルを準備すべきである。 試乗した車は最上級グレードの2.0GTスペックBである(3.0が最上級か?)。個人的感想としてはあまり乗りたくなる類の車では無かった。乗り心地が悪すぎるのである。先代モデルであそこまでしなやかだった足はどこに行ったのだろう?確かに元がしっかりしている車なので、足周りをここまで固めてもなんの破綻もきたさないのだけど、所詮スポーティー=堅めと言う安直な足周りでしかない。これは少し考え方が古いのではないだろうか?雑誌の記事を見ると、他のグレードはもう少しマシでこのグレードだけやり過ぎたようなのだけど、やはり足周りはしなやかに動いてこそお金が掛かっているという感じがするモノである。ただ固いだけの足周りでスポーティーに仕上げるのなら街の改造屋でも出来る。スバル、レガシィに求められているのはそんな車作りでは無いと思う。じっくりとお金を掛けたモデルチェンジ、モデル作り。ホンモノの車。それが人が抱くレガシィのイメージだと思う。そう言う意味で、こういう安直な首都高速ぶっ飛ばすような(そして爆音マフラー(笑))兄ちゃんが好みそうなセッティングは如何なモノかと思う。 最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)3(好)。 | |
ラウム(03.5.21記)(03.5.22補記) | |
旧型は消滅してしまったターセル系をベースに作られていた為、このまま併せて消滅するかと思われていたラウム。意外な事にモデルチェンジが行われることとなった。旧ターセル系とスターレットは統合されて、今のヴィッツファミリーとなったわけだから、ミニサイズハイトワゴンとしては、ファンカーゴ、Bbらが既にある。それでも旧型ラウムがそこそこ売れていたと言う事は、そこに車を売れる隙間が有るというわけで、さすがトヨタ。全く持って商売に隙がない(笑)。 新型の全体の印象は旧型と全く替わりがない。キープコンセプトと言えよう。ただ、このモデルチェンジを境にトヨタはしきりと「ユニバーサルデザイン」と言う言葉を使いだした。これは世の中全ての人に分け隔てなく使いやすいデザインと言う事らしく、目指すべき理想は大変素晴らしいと思う。しかしこれは世の中の車(最低限トヨタ車)全部がそうでないと本来いけないわけで、このラウムだけでなく、以後のトヨタ車全てがユニバーサルデザインである事を希望する。 キープコンセプトで一見変わり映えのしないラウムの最大の変更点は、Bピラーを無くしたパノラマオープンドアである。昨今流行の観音開きドア。他社のモノは前ドアを開けてからでないと後ろ側のドアが開けられない。この制約のせいで意外と使い勝手の悪いモノとなってしまっていた。だがトヨタのそれは後ろがスライドドアと言う事もあるが、前後どちらからも開けることが出来、まさに分け隔てないユニバーサルデザインとなっている。これに前席助手席が畳めることと併せて実に開放的な空間を作り出す事に成功している。ホンダのエレメントが目指すべきモノはこういう形だったのではないだろうか?アイデアは良くてもいまいち使えないホンダに対して、キチンと利用価値のあるモノに仕上げたトヨタはさすがと言えよう。 ただ、このパノラマオープンドアのせいで助手席のシートベルトは、助手席の肩口からはえてきている。これが意外と拘束感が強くて、慣れないうちは気になるかも知れない。また、後部スライドドアは電動スライドのモデルが多いのだが、この電動スライドのモデルを選んでも、実は反対側は手動となってしまうのである。確かに道路側のドアから降りる事は少ないかも知れないが、それは有る意味路上駐車の状況での事で、正しく駐車場などで乗り降りする際は両側を利用するのが普通であろう?分け隔てのないユニバーサルデザインとしてはちと詰めが甘いかな?と思う。値段も安いし出来もなかなか良い。独走状態のキューブを止めるのはラウムかも知れない。 最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)3 | |
グランディス(03.5.17記) | |
三菱今年のニューモデルはたぶんこれだけである。シャリオグランディス改めグランディス。三菱の最上級ミニバンになる。 デザインはしばらく前から公表されていた。縮小傾向にあるこのクラスに、この後プレサージュ(こちらも既に公表されている)やオデッセイと言うライバルが相次いで発表されるため、たぶん先手を打っておきたかったのだろう。そのデザインはいわゆるブーレイ顔である。世間的にはコルトから導入された、三菱マークを目立たせる独特のブーレイ顔、あんまり評判がよろしくないようだ。初っぱなのコルトが一番マシで、その後のランサー、アメリカ仕様のディアマンテ、ギャラン、とドンドン酷くなっていくと言うのが大方の感想らしいが、その意見には大いに肯ける。グランディスも写真が公表された段階で、正直こりゃ酷い・・・と思った。流れるようなラインはエスティマコンプレックス丸出しだし、そこに無理矢理付けられたようなブーレイ顔、ヘッドランプはフェンダー手前で独特な反りかえりをしていてなんとも落ち着かない。これではコンサバだったが、オデッセイには決して似ていなかった先代の方がよっぽどマシだと考えていた。 だが今日実車を見てみた感想は「そんなに悪くない」と言う感じである。これは特に濃い色のモデルのエレガンスグレードで言えるのだが、意外とグリル周りに良い陰影が出来ているのである(白や銀ではこの辺りがぼやけてしまうので、写真通りのいまいちな印象のまま)。たぶん写真から見た印象ではみなエスティマというか、ウィッシュの大きいのみたいな印象が有ると思う。でも実物の顔周りはどちらかと言うと、クライスラーボイジャーのような雰囲気で結構重厚感があるのだ。 内装はどうだろう?デザインは結構頑張っている、色合いも今までの国産車には無かった配色で新鮮だし、生地も面白い肌触りだ。エアコンオーディオスイッチ類もルノー風の未来的デザインでワクワクしてくる。ただ、正直全体的に安っぽい。コルトの時はあれほど頑張った印象のある高級感が、このグランディスではあまり無いのである。全ての素材がコルトレベルのコストで止まってしまっているように感じられてしまうのだ。これは残念である。トヨタ流のギラギラした使い方ではない、木目調パネルや金属調パネル。使い方はなかなかセンスが良いのだが、いかんせんプラスチックっぽさが抜け切れていない。インパネのパッドに覆われている部分は、パッドの薄さ、堅さで安っぽいのだがそこをパール風の色合いで上手くカバーしている。木目調部分もなんとか工夫してこの安っぽさを解消して貰いたい。 内装関係で苦言をもう一つ。確かに収納スペースはカタログを見て貰えば解るように無限にある。だがそのどれもが小さいのだ・・・インパネ上のBOXには薄いモノしか入らない。他社なら大きな収納部が有りそうなATセレクター下も灰皿しかない(これは若干大きいのだが今時灰皿が大きくてどうするのだ?)。助手席下にも収納はあるのだが、ここ常時開けて使っているのはなんともスマートさに掛ける。全てが万事そんな感じなのだ。これだけ大きなサイズなのだから、もう少し大きめな収納部に出来なかったのかと思ってしまう。そうそう、オーディオレス仕様を選ぶと、途端にインパネデザインが安っぽくなるのも興醒めである。自社のオーディオ/ナビを付けさせるためだろうが、ちょっとこれは酷すぎる。ここも再考願いたい。 この後出てくる日産のプレサージュは解りやすいデザインをしている。最近の日産車のデザインからかけ離れていない(ティアナ顔とでも言うか?)安心感のあるデザインだ。たぶん多くのユーザーはあちらのデザインを選ぶと思う。だがグランディスのちょっとフランス車風のデザインもそんなに悪くない。是非写真だけで毛嫌いせずに実車を見て欲しい。 最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)3 | |
エレメント(03.4.28記) | |
MDXに続くアメリカホンダ企画制作の逆輸入モデル(逆輸入って言い方はおかしいが)。インスパイア、ラグレイト等と同じく、ただラインナップを埋めるためだけに存在するモデルである。と言ったものの、過去のアメリカホンダモデルとは違って、充分に商品になるだけの力は持っている。持っているのだが絶望的なのはその価格とサイズである。オーディオレス仕様で259万円、サイズは4340×1810×1790・・・どう考えても日本国内でのターゲットユーザーにあてはまらない気がする(アメリカでも当初の予定より遙かに高齢らしい)。この手の車を上手に活用する年代は20代〜30代前半までだと思う。その年代の今の日本での財布の事情を考えたら259万円の車ってあり得ないと思う。 ホンダはまた同じ失敗をしてしまっているのだ。S-MXを発売当初売りに売りまくったのに、後発のより安いbBに全部持ってかれてしまった。コンセプトが似ていれば、今の日本人はサイズにはあまり拘らない。より安くて出来の良い方を選ぶのである。なのにエレメントはそのS-MXよりもデカイのである(S-MXの後継車だと言ってるのではない、同様にシビック/CR-Vベースで作られているのにと言う意味)。狙っている所は良いのにこれでは全く話にならない。たぶん日本でエレメントを買うかも知れない層は、ほとんどキューブに流れると思う(と言うかキューブを買おうと思っている人にとっては、価格的に視界にも入らないだろうが)。そしてたぶんトヨタが2年以内に出す新型車にも同様な車が有るだろう。この2車によって、価格的、サイズ的にまったく勝負にならないエレメントは絶版車の道を歩まされる事となるだろう。 車としての出来はどうだろうか?運転席はこんなに大きな車なのに、意外と狭く感じる。特に足下空間とペダル配置に若干の違和感を覚えたが、右ハンドルモデルに無理が有るのだろうか?「売り」の観音開きドアはRX-8と同様、前のドアが開かないと後ろのドアも開かない。ただ後ろの内側にも取っ手があるのが違う点である。問題なのはこの後ろのドアの最初のクリック(ドアが止まる位置)が、かなりドアが開いた場所に設定されているので有る。これだと前席はほぼ全開にしなくては行けないし、駐車場で両隣に車が止まっているところで乗り降りするのは相当困難だと言わざるを得ない。まぁそれを考えてか4ドアなのに、前席が前にスライドするようになっているのだが、これでは本末転倒な気すらしてくる(笑)。フェンダー、バンパー部分を覆う樹脂パーツは未塗装だが銀のラメが混入されていて、経年劣化してもそれほど見窄らしくならなそう。色自体も黒にはせずに、最初から退色時を考えてグレーなのも工夫の跡が見られる。 MDXの項にも書いたが、もはやホンダに国内ナンバー2を確保する力は無い。アメリカホンダにおんぶに抱っこなのは仕方が無いし、実際にアメリカホンダが企画するモデルの方が魅力的にすら見える。ただ、その際に障害となるのがいつでも価格とサイズなのである。モビリオスパイクなんて言うバカモデルに金を掛ける暇があったら、何故日本市場向けのサイズでエレメントを作れなかったのか?モビリオエレメントで有れば、充分に勝負になったと思うだけに残念である。その辺の事が解っていない辺りに、ホンダの先行き不安を感じてしまうのである。トヨタ一人勝ちの中、6.7年のスパンで他メーカーが上がったり下がったりしてナンバー2の座を伺う。そんな状況がいつまで続くのだろうか? 最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)3(好) | |
MDX(03.3.31記) | |
筆者の予想通り一時の勢いは影を潜め、フィット以外の車はあんまり売れ行きが芳しくないホンダの新型車が大型高級SUV、MDXである。簡単に言うとトヨタハリアーのライバル車な訳だが、別にハリアーをやっつけようと鋭意開発されたわけでは無く、アメリカホンダのモデルを単純に日本に持ってきただけの話しである(ハリアー自体も今回のモデルはアメリカメインで日本市場の事はあんまり考えてないように見えるが、2.4Lモデルがあるだけマシである)。そのやる気の無さはサイズを見れば一目瞭然で有る。4790×1955×1820こんなバカでかい車を一般人はなかなか買えるモノではない。さらに排気量は3.5L、価格は485万円なのである。ハリアーがアメリカ主導でもどうにか日本国内でも勝負になる商品なのに対して、ホンダのMDXは話にすらならない。ホンダにはこの後エレメントと言う車も控えているのだが、これまたアメリカンサイズで、良いコンセプトなのに日本では手に余ると言う車なのである。 まぁ100歩譲って、大型高級SUVだとして値段やサイズには目をつぶっても、その質感はとても500万円近くする車のモノではない。最近のホンダ車の内装クオリティはグンと良くなったが、それはまだまだ日本国内モデルの話であって、この大型高級SUVの内装には正直がっかりさせられると思う。ホンダは必死になってハリアーのライバル車としようとしているが、排気量が小さく安いハリアーの方が、遙かに高級そうに見えるのだから全く勝負にはならないはずである。ラグレイドが高級ミニバンでは無く、只のドンガラのでかいオデッセイだったのと同じく(実際アメリカ版オデッセイなのだし)、MDXもドンガラのでかいCR-Vのようなモノなのである。 オデッセイの大ヒット以降、ホンダは勝ち組のように言われていた。だが筆者は正直懐疑的な目で見ていた。「ホンダはなぜ自分の所の車が売れているのか解っていないのではないか?」そしてオデッセイのモデルチェンジがキープコンセプトで、まるっきり変わり映えしなかった時に「ホンダは何も変わっていないし何も解っていない」そう確信したのである。渾身のモデルチェンジアコードも、筆者が指摘したようにターゲットユーザーが狭すぎて急激に失速してしまっている(ライバル車アテンザは台数では負けているが、発売以来コンスタントに台数をキープしている。販売店の力を考えれば健闘と言えるだろう)。ここで何かしっかりとしたした手を打たないとホンダも、ディアマンテやパジェロのヒット以降急降下した三菱のようにならないとも言い切れない(現にホンダディーラーでの新庫車登録詐欺は、クレーム隠しを彷彿させる)。もはや日本に民族資本の自動車会社はトヨタとホンダしかないのである。そのホンダもアメリカホンダに食べさせて貰ってるのが正直なところである。何も考えずに安直にこんなバカSUVを持ってきてしまう(いや考えたんだろう・・・考えたからこそコストなどの制約で、ただ入れるしか無かったんだろうけど)ようでは、本当にホンダの先行きが心配である。少なくとも国内ナンバー2を確保する力は、昨今のホンダの新車には感じられない。 最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)3 | |
ティアナ(03.2.8記) | |
セフィーロとローレル。それなりの知名度と歴史を持つこの中型セダン2台を統合して、新たなスタートを切ったのがこのティアナである(でもウェブカタログにはまだセフィーロが残っているが)。ティーザーキャンペーンを展開し、その内装デザインに大きな期待をされて出てきたこの車、実物はどんな出来映えなのであろう。 筆者が訪れたディーラーに置いてあったティアナは、最下級グレードのモデルで、グレー内装に、イスは織物、助手席も例のパワーオットマンシートでは無いモデルであった。正直このグレードだと感動するほどの内装には見えない。確かに独自の木目調パネルの配置などで、それまでのウォールナット風木目パネルの国産車とはあきらかに違って見える、だがウインダムやブレビスなどのトヨタ内装には(本来比べるべきなのはカムリでありマークIIだが)残念ながら劣ると言う印象だった。だが外に置いてあった試乗車は、スエードで色もカシミア。見事なまでにCMの高級感が表現されていた。あのCMのあの内装に引かれたので有れば、必ず中級グレード以上で内装色もカシミアかアガートをお勧めしたい。グレー内装では少し木目が浮いて見えて、その為に木目の「木目調」さが目立ってしまうように思えるのだ。 この「木目調パネル」の配置と質感がこのティアナのキモであるのは明かで、他社とのアドバンテージも全てこの部分が握っていると言っても過言ではないだろう。出来自体は細かい事を気にしない一般ユーザーで有れば、全く問題のない質感ではあると思う。シルフィがあの内装だけで、あれだけ売れたと言う事を考えると、ティアナもある程度ヒットするのではないだろうか。だがよーく観察すると、パネルのエッジがやはり「プラスチック」なのである。木を切断するとその切断面はある程度鋭利である。だがこのパネルはプラスチックであるから当然、切断してこの形になっているわけでは無い。金型から射出されてこの形になっているのである。つまり本来の木で有れば鋭利になっている部分が、柔らかなアールとなってしまっているのである。その辺りはデザイナーも考えたのであろう、フロントコンソール周辺はアルミ調の縁取りで見事その「柔らかなアール」を隠している。灰皿やドリンクホルダーを出さない限り「柔らかなアール」が露出することは無いのである。 だがそんなデザイナー陣も唯一手を抜いてしまったところが有る。後席のアームレスト上の木目である。ここはいかにも後で取って付けたようで、フロントほどの気配りや緊張感が感じられない。この木目の露出の仕方では、それまでの苦労が台無しになってしまう可能性があるので、出来れば下級グレードのプラスチックのままの方が良いのでは?と思う。たぶん初期段階ではここまで木目パネルを使うつもりは無かったのだろうが、営業サイド等からの要求で急遽、木目パネルにしたのであろう。 最近の日産車のイスはとてもソフトである。マーチはちょっとソフトを通り越してふにゃふにゃに近かったが、キューブなどでも解るように、おおむね好感の持てる座り心地だと思う。このティアナもその例に漏れずに大変ソフトで良い座り心地なのだが(特に後席)、果たしてこのイスの出来はどうなのであろう?これがフランス車で有れば、素直に信用できるのである。だが今までの印象で、国産のソフトなイスと言うと、どうしても途中でへたってしまって結局腰痛の原因になるのでは?と思ってしまうのだ。日産がルノーと提携したと聞いた時に筆者が一番期待したのは、ルノーの乗り心地とイスの出来の良さを日産が学んでくれる事であった。その影響が確実に現れているので有れば、実に良いシートになっていると思う。とにかく座った印象は抜群に良く、フランス車的なのである。後は長時間座ってもフランス車のような疲れないイスなのか?こればかりは購入してみないと解らない。 外装デザインは綺麗にまとまっていると思う。最近の日産車の中ではそんなにとんがって見えずに、一連の新しい日産デザインが馴染めない人にでも好感を持って貰えるのではないだろうか?ショルダー部の張り出しに日産臭さもキチンと出ているし、いよいよこなれてきたな。と言う印象である。総じて良くできた車で大ヒットの予感有りである。と言うか、これが当たらないと、日産、いや日本の車作りまずいでしょう?是非トヨタ車好きの人は見に行って下さい。マークIIが一気に古臭く見えますよ。 最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)3(好) | |
twin(03.2.8記) | |
このtwin、正直かなり面白い車で、ひょっとしたらまだ誰にも見つけられていない金脈であったかも知れない。だがスズキのあまりの売る気の無さに、見つかったはずの金は落盤で埋もれてしまいそうである。 枠一杯枠一杯で結局似たり寄ったりになってしまう軽自動車と言う歪んだカテゴリー。税金などの恩恵のせいでいまだに着実に売れつつある。だがそんな軽自動車の流れを変えるかも知れない車がこのtwinであり、メルセデスのスマートである。軽自動車は地方の最重要交通手段でもある有るわけで、そう言う人にとって軽自動車の利用方法は殆どが一人乗り、乗っても二人なのである。また都市部においては軽自動車の枠一杯のサイズでも窮屈な場面もあり、そう考えると果たして現状の枠一杯一杯のサイズが正解か?との疑問がわいてくる。 そう言う疑問に対する答えがこのtwinだったわけである(スマートは結果オーライだし)。屋根付きスクーターなどとは違う、キチンとした自動車としての規格を満たして、それでいて49万円という低価格。短距離移動の手段として色々割り切った装備性能。まじめに作り上げていれば、スズキはワゴンRに続いてまた一山当てるはずだったのだ。だが、この価格設定では駄目である。ガソリンA、49万円のモデルにはエアコンもオーディオもついていない、またミッションはMTである。最量販モデルであるガソリンBはATだしエアコンもついているが価格が一気に84万円まで跳ね上がる。こんな両極端の価格設定では一体誰が買うのだろうか?しかも84万円のモデルにはオーディオもついていないのである。なんだこれ?同じスズキの店には、フル装備の小型車スイフトが60万円台で買えるのである。こんなおかしな話が有るだろうか?いや、ガソリンBはこの際無視しよう。ガソリンAにエアコンをつけてオーディオつけたら、もうスイフトと同じ価格なのである。とほほ。 49万円。この価格にエアコンがせめて入っていれば・・・ガラスなんてハンドルで良い(ガソリンAでもパワーウィンドウなんだよ)んだよ。84万円は論外だが、フル装備の小型車に負ける価格設定では駄目だろう(ハイブリッド分かぶらされているのか?)。スズキが売る気無いの丸わかりである。おまけにもう一つの目玉ハイブリッド車の方は、高い価格には目をつぶるとしても、安全規格は通常の軽自動車枠クリヤーしてないらしいし、バッテリーの寿命も鉛のせいで短いらしい。本当にスズキ売る気ありません。あくまでも「こんな車も出しています」と言うアドバルーンでしかないわけである。 スズキは実に惜しいことをした。実際に乗ってみると運転席足周りがパワーウィンドウスイッチのせいで以外と狭いことを覗けば、なんだか笑っちゃいそうになる独特のカラーを持っていて好感が持てる。うまい具合に、安いんだけど貧乏くさくない雰囲気にまとめ上げられていると思う(でもどうして国産車は小さい車となると、すぐにこういうチョロQ テイストになっちゃうんだろ?)。でもこの売る気の無さでは駄目だ。昔アルトを47万円で出した時の心意気、ワゴンRと言う新しいカテゴリーに打って出た勇気。それらを本来持ち合わせているスズキが、こんな価格設定でこの車を出してしまうとは・・・残念としか言いようのない車である。 最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)3 | |
WISH(03.1.24記) | |
さてさてトヨタのホンダストリーム対抗車だと、巷で言われているのがこのウィッシュで有る。 確かに寸法や全体の印象、コンセプトなど、どれをとってもストリームと同じで、発売直後バカ売れしたストリームに対して、トヨタが大慌てで開発した様が想像できる。ヒット車が出るといつも本気で叩きつぶしに来るのがトヨタのせこさであり、凄さでもあるのだが、正直各メーカーが必死になって探り当てたニッチなマーケットを、わずか1代で台無しにしてしまうのは大人気ないと思う(古くはレパードやファミリアから最近ではエルグランドまで。唯一の例外がレガシィ)。だが今回に関してはいささか勇み足だったのではないだろうか?ストリームって現在でもバカ売れしてるんだろうか?「7シータースポーティー」と言うマーケットは果たして未だに存在するのだろうか?わざわざ出張って来ずとも、カローラフィールダーで良かったんじゃ無かろうか? そんなウィッシュだが、別にどうと言う事も無い車である。世間的に言われるほど格好良くもないと思う。そう言う意味では、やはりストリームが出た時の驚きの方が大きかったし、デザインも個人的には好きではなかったが、遙かにストリームの方がオリジナリティが有ると言えよう。ストリームが無駄なモノを削ぎ落としたデザインであるとすれば、ウィッシュは一般大衆向けに着飾ったデザインと言えようか?少なくとも「7シータースポーティー」と言うコンセプトで有れば、やはりオリジナルのストリームに軍配が上がるだろう。シートの座り心地、インパネの造形、今時黒一色しかない内装色なんかを見ると、やはりトヨタも「7シータースポーティー」がちらついていたようだが、その一方で「7シータースポーティー」がこけた時の為に「7人乗り小型ミニバン」としての中途半端な色気が外装デザインからは感じられるからである。 まぁなんつーかその。今までスポーツカーも買ったこともないような人が「うーんスポーティーで良いね」なんて言って買いそうな車で、正直久々に買って格好悪い車だと思う。そうそう、内装はついにブルーメタリックのパネル止めました。これだけは正解。まだ今回のカーボン調の方がましかと。 最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)3(嫌) | |
ミラ/アヴィ(03.1.12記) | |
ダイハツ軽自動車を支える根幹車種であるミラが、先に登場したムーブのプラットホームを利用し新型となった。先に登場したムーブと同じく、いわゆる新規格軽の中では他社より先んじる形で第二世代に突入したわけだ。旧型まではハイトなムーブ、乗用セダンのミラと綺麗に住み分けが出来ていたのだが、今回の新型ミラはどちらかと言うとハイトな方向に寄ってしまっている。ダイハツには他にもネイキッド、MAXとハイトワゴンがあるわけで、ダイハツ自身が今後どのように住み分けしていくのかが注目であるが、たぶんどのモデルかは消滅するであろう。 ムーブの際にも触れたが、このミラもデザインはいまいちである。デザイン自体は特にどこが悪いとか破綻しているとか言う話ではないのだが「ダイハツのミラである」と言う事が全く感じられないデザインだと思う。ペキペキした折り紙細工なようなデザインは三菱車のようだし、全体のフォルムはスズキのようでもある。もっと具体的に上げるとミラはミニカ、アヴィはKeiにそっくりである。今まではダイハツにはダイハツなりのデザインと言ったモノが確かに有ったはずで、先代ミラなどは実にダイハツらしいクリーンなデザインであったと思う(ミニの焼き直しだけど)。だが、ムーブと同じくこのミラも全くダイハツの車としての主張が感じられない。エンブレムを隠してしまったらどこの車か解らないではないだろうか? 今回ミラとアヴィに車は作り分けられている。アヴィの方はミラとはインパネのデザイン、部品まで変えて今風の高品質感を全面に出したデザインとなっている。対してミラの方は、今までの安車、下駄車としてのユーザー層に向けての車で徹底的に安くできている(それでも今までよりは遙かに質感が上がっているが)言い換えれば、今までの軽自動車ユーザーにはミラを、小型車と競合するユーザーにはアヴィをとの考えだと思うが、果たしてここまでの作り分けが必要なのだろうか?只でさえ似たようなサイズ(これは規格が有るから仕方がないが)の中に複数のモデルがあるのに、その上同じ車でもバカみたいに作り分けがなされている。選択肢が多い事がユーザーの幸せにそのまま繋がるとは言い切れないと思う。 今回の早めのモデルチェンジはたぶん根幹車種であるべきミラの売れ行きが芳しくないのも要因であろう。当然ミラは何に喰われているかというとムーブらのハイトワゴン勢に喰われているわけである。だからといってミラのコンセプトを変えてまでのモデルチェンジをする必要が有ったのだろうか?ミラはミラのままで残し減価償却を進めて、もっと安いモデルを登場させた方が良かったのではないだろうか?ジーノは売れているから残すのであれば、それぐらい考えても良かったんじゃないだろうか?田舎のおっさんが安心して乗れるようなモデルが無くなった今のダイハツがちょっと心配である。 最大瞬間評価(目一杯ひいき目で見て)3 |