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細い目で遠くを見つめる幼顔

大谿山 豪徳寺 世田谷区豪徳寺2-24-7

小田急線・豪徳寺駅から東急世田谷線の線路沿いに南へ徒歩10分ほどの距離です。曹洞宗のお寺。世田谷線・宮の坂駅からだとすぐ近くです。
山門左に「都史跡・井伊直弼墓」の石柱が立つように彦根藩主・井伊家の墓所とそれにまつわる招猫(招き猫)伝説発祥の地として知られています。
広い境内は、山門を入ると右に鐘楼、左に三重塔、正面に仏殿があり、仏殿の左は招き猫の招福殿(招福観音堂)で、奉納所にはたくさんの招福猫児(招き猫)が奉納されています。仏殿の奥は本堂で、右に庫裏や書院が一体となった建物、左奥が開祖堂といった伽藍が建っています。
墓地は境内の左(西側)部分を占め、三重塔の西奥に井伊家墓所、その北が一般の墓所となっています。
六地蔵は井伊家墓所の入口近くの堂宇に祀られています。像容は左から宝珠に錫杖、合掌、両手で香炉、幢幡、宝蓋、数珠です。像はやや大きめで本体が90cm、蓮台込みで110cmです。
像は胴の太さがやや異なっていたり、頭部に修復があったり、胴部にも修復があったりで、同じ一組の六地蔵かどうかは判りませんが、法衣の線などの表現は同じ柔らかさのように思えます。
蓮台には六台ともに「元禄九(1696)年」の文字が読み取れます。「圜臺院殿? 大通智◯◯?」も見えましたが、井伊家の法号の中にはそれらしい名号は見当たりませんでした。
頭部の損傷が激しく、表情が比較的はっきりしている像は一体だけですが、目は細く引かれたような造りで、欠けた鼻の下の口は可愛く、幼い児童が瞑想しているように見えました。
招福殿横の奉納所には屋根のある棚だけでは収まりきれずに、周囲にもぎっしり大小の招福猫児が奉納されていました。ちょっと異様な風景ですが、外国人を含めた大勢の参詣者が撮影に訪れていました。 (2018.04)

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