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左手の小指を反らせて香炉を持つ地蔵

舜栄山行王院 安隠寺 世田谷区上祖師谷2-3-6

京王線・千歳烏山駅の南1.3kmのところにある真言宗のお寺。駅南口から出るバスで4停留所目「榎」の直ぐ近く、参道は都道118号線に面しています。
山門を入ると石畳の参道が斜め左の本堂に続いています。正面は庫裏、境内右側は墓地が広がっています。
山門近くに墓地への入り口があり、その上り坂に六地蔵の入る雨屋があります。また、石畳の右側には「三界万霊」の石柱台に乗った地蔵菩薩立像と弘法大師関連の二石柱が建っています。
六地蔵は石質の色合いが二種類、蓮台の大きさも三種類くらいに見えますが、手の造り方などは六体とも同じようにも見えます。
像容は左から幢幡、宝珠に錫杖、両手で宝珠、蓮華、両手で香炉、宝蓋となっています。写真は幢幡、蓮華、宝蓋を持つ地蔵です。像高は90cmから97cmとばらつきがあります。蓮華を持つ地蔵が90cmで蓮華台も少し小さめです。
造りの特徴は手の指の表現で、石像にしては細く長い指に造られています。同じ世田谷の円乗院の六地蔵を思い出します。
面白いのは宝珠を両手で抱く地蔵の指は普通に五本の指で宝珠を包むように持っていますが、香炉を両手で持つ地蔵は左手の小指を反らせています。
両手で宝珠や香炉を持つ姿の地蔵はそれほど多くありませんが、小指を反らせた手の造りの地蔵には初めてお目にかかった気がします。もっとも、たまたま偶然、気がついたにすぎないのかもしれませんが。
六地蔵雨屋の前に数枚の卒塔婆を背負った丸彫り坐姿の宝珠錫杖地蔵像が安置されていました。石柱台によれば「嘉永七(1855)年」に奉造されたもののようです。円光背があり、少し頭を傾げて墓地を見つめていました。墓地内には他にも古い石仏、石塔がたくさん見受けられました。
参道に面した都道を少し左に行くと小さな地蔵堂があります。境外のお堂で岩船地蔵尊を安置してあるのだそうです。(2018.04)

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