image

人の気配のないお寺の新しい六地蔵

大寿山 円照寺  稲城市大丸851

JR南武線・南多摩駅の東南、直線距離にして300mくらいのところにある臨済宗のお寺です。
川崎街道の大丸(おーまる)信号を南に入る掘割沿いの細い道を辿ると、山崎通りの信号にぶつかったところです。
山崎通りに面して右に円照寺、左に大麻止乃豆乃天神社の入口があります。
円照寺入り口には一本の寺号を刻んだ石柱と六地蔵を安置した雨屋があり、その対面に有蓋庚申塔と三夜塔石板が建っています。
参道は二股になっていて、右が山門、本堂に至る石段で、左が十王堂に向かう坂道です。
山門を入ると正面に本堂、右に庫裏となっており、本堂の裏手の丘は墓地です。墓地は十王堂の前にもあります。
六地蔵は60cmばかりの比較的小さな像です。像容と台石の地蔵名は左から数珠(地持地蔵)、宝珠に錫杖(鶏兜地蔵)、幢幡(宝印地蔵)、合掌(宝陵地蔵)、宝珠に施無畏印(陀羅尼地蔵)、柄香炉(法性地蔵)となっています。地蔵名と持物が臨済宗聖典の儀軌に則って造られています。
新しい石材なので小屋の中の柔らかな光のため顔の表情などはっきりしないのですが、首飾りなどはきちんと彫られています。手の指が短いので合掌の手が可愛く見えます。
有蓋庚申塔は柱の部分に日月、青面金剛、邪鬼、鶏、三猿が浮き彫りされています。側面に「享保八癸卯(1723)年 奉建立庚申供養為 三月吉日」とあります。
本堂と十王堂の間の植え込みの中に宝篋印塔が立っています。相輪、笠、円柱の塔身、十二角の基礎、十二角の返花座と台石、四角の台石をもつ立派なものです。
塔身の正面に一体、基礎の各面に十二体の仏像が仏龕の中に浮き彫りされています。返花座下の台石にはそれぞれ戒名と日付が刻まれています。うちの一つに明治四十二年というのがありました。建造年はわかりませんでした。
境内の植え込みの緑は美しく、本堂の引き戸は全面新しく作り直されていましたが、なぜか人の気配が感じられませんでした。新しい六地蔵は手持ち無沙汰? (2019.05)

六地蔵巡りに戻る