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組合せに子育地蔵が入る珍しい坐姿六地蔵

龍門山等持院 高安寺 府中市片町2-4-1

京王線、JR南武線・分倍河原駅の東300mの所にある曹洞宗のお寺。総門は北側を走る都道229号に面しています。
六地蔵は総門の右手前に祀られています。比較的珍しい坐姿の丸彫地蔵です。さらに珍しいのは内の一体の像容が子育?(水子?)となっていることです。
ここでは左から宝珠に錫杖、宝珠に施無畏印、数珠、合掌、柄香炉となっており、右端は赤子に施無畏印(?)となっています。一般的には幢幡か宝蓋を持った地蔵が加わって一組の六地蔵になるところですが。
六地蔵の像容で子安地蔵が含まれるセットはほとんど見ることがありませんが、この近くの安養寺にも同じ組み合わせの六地蔵があります。 左端の宝珠に錫杖地蔵の錫杖はありません。金属製の錫杖が右手に差し込まれていたと思われますが、 無くなっていました。
像の大きさは高さが47cm、幅42cm。蓮台は反花も含めて30cmあります。昭和六十二年に奉造されたものです。
同じ地域で建造年代が近いし、珍しい組み合わせの坐姿六地蔵なので、同じ石工の手になるものかと思いましたが、法衣の襞や持物の形などに彫りの違いがあります。
境内は総門の正面奥が観音堂で、手前を右に曲がると仁王を備えた山門が見えます。山門のさらに奥が本堂です。墓地は山門左から本堂左、奥へと広大な敷地です。
山門手前には舟形坐姿の八体(千手観音菩薩、虚空蔵菩薩、文殊菩薩、普賢菩薩、勢至菩薩、大日如来、不動明王、阿弥陀如来)の干支本尊が建立(平成三年)されています。それぞれに一つまたは二つの干支が割り当てられています。
また、山門の左、墓地との間にたくさんの地蔵を雛壇状に祀った一角があります。子安・子育て祈願のために設けられたものでしょうか。これまでにも幾つかのお寺で出合った風景です。
広大な敷地に歴史的建造物に指定された伽藍が配置され、樹木に包まれた境内は江戸期に隆盛した寺院の雰囲気を漂わせていますが、六地蔵、八体干支本尊、雛壇地蔵ともに建造が新しく、まだ雰囲気に馴染みきれないように見えました。 (2018.10)

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