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父親の悲しみが1体1体に刻まれた六地蔵

天海山 雲龍寺  八王子市山田町1688-2

京王高尾線・山田駅の南西700mのところにある曹洞宗のお寺です。
駅を出て八王子城山線という通りを南に行き、椚田遺跡公園通りを西に入理、少し歩くと右手に朱塗りの山門(雷門)があります。
境内には明珠閣、五重塔、鐘楼、本堂、明珠門、光明門などの伽藍が所狭しと建ち並んでいます。西隣は当寺運営の保育園です。
東奥の光明門を出た通りの向かいに相武門があり、光明霊園の入り口になっています。
六地蔵はこの霊園の南側と北側に二組あります。
南側の六地蔵は<庸祐六地蔵尊>といい、息子の早世を弔って建造されたもののようです。隣に建つ板碑<奉建立由緒記>によれば、建造は「昭和十六年」です。像高は106cmもある大きな像です。
六地蔵1体ごとの背面に願文「□□居士菩提」と願主名「願主□□」を刻んであり、父親の気持ちのこもった地蔵像です。
像容はこれまであまりお目にかかったことのない持物と印相の姿です。
左から香炉に上品下生印?、数珠・宝珠に施無畏印、錫杖に与願印?、幢幡に与願印?、錫杖に施無畏印、数珠・宝珠に上品下生印?でしょうか。
蓮台下の反花を彫った円柱台には正面中央に「(六道能化)/庸祐六地蔵/(地蔵名)」が刻まれていますが、風化や苔で上手く読み取れません。
左から「地獄道能化/金剛願地蔵」「餓鬼道能化/金剛寶地蔵」「?/?」「?/?」「人間道能化/放光王地蔵」「天上道能化/預天賀地蔵」のようです。
「十王経(系)」の名前なので「?」の二つは「畜生道能化/金剛悲地蔵」「修羅道能化/金剛幢地蔵」と推測されます。禅宗寺院では珍しい地蔵名です。
錫杖を左手に持つのは古い形の地蔵像だと言われますが・・。持物、印相を含め見慣れない像容だと思います。
やや下膨れの顔で、表情はアルカイック・スマイルです。左から2番目は頭部損傷で修復されています。
北側の六地蔵は墓地を挟んで南の六地蔵と向かい合っています。像高は90cmとやや大きめの地蔵像です。
像容は左から柄香炉、数珠、幢幡、宝珠に錫杖、宝珠に施無畏印、合掌です。
整った造りで美男子です。建造年はわかりません。
霊園は各家の区画それぞれが植え込みで仕切られた立派な墓地です。墓石を見ると比較的新しく区画整備されたようです。他に室内墓もあるようです。
霊園は門では福禄寿、布袋恵が出迎え、参道では比寿、大黒など七福神、地蔵菩薩掌善童子、地蔵菩薩掌悪童子、羅漢など多くの石像が六地蔵とともに墓参者を案内します。 (2020.11)

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